研究概要 |
毛細管(微細管)はマイクロマシン,微細医療機器等に多用されるが,微細管内面の粗さを0.3μmRzの鏡面に仕上げられる加工技術は存在しない.現状は,比較的経が大きな管丙面を鏡面化した後,細管を引き伸ばして微細管を製作するため内面は粗面化する.そこで本研究は,磁気を利用した微細間内面の新しい鏡面仕上げ技術の創出を目指して研究展開した.平成17年度の成果は下記の通りである. 1.微細管内面磁気研磨装置及び磁石工具の製作及び加工実験 永久磁石と0.1mm径ピアノ線工具の間の磁力により微細管内面に加工力を発生させ,磁石と微細管の距離を調節してピアノ線工具の加工力制御が可能な微細管内面研磨装置を製作した.当初は0.1mmのSUS304微細管を用いて実鹸したが,研磨材の微細管内部への投入が不可能であり,円管の曲率半径を無限大とした平面工作物(0.1mm厚のSUS304薄板)を用いたモデル実験を実施して,基本的な加工特性を把握するとともに,面粗さ0.14μmRzを0.09μmRzに改善できることを明らかにした. 2.永久磁石工具を用いた高周波振動細管内面研磨工具の開発とその加工挙動の解明 微細管モデルとして2mm内径の細管を採用し,細管内部た永久磁石工具を挿入して内面研磨する新タイプの磁気研磨装置を製作した.これは,外部静磁場により磁石工具に一定の加工力を,変動磁場により磁石工具に高周波振動運動を与えて加工する新しい加工法である.振動研磨工具の挙動観察,電磁コイルへの励磁電流と磁石工具の振幅の関係,工具磁石間距離と工具振幅の関係などを明らかにし,磁石工具は外部変動磁場の周波数に完全に同期して振動研磨加工することを明らかにした.本手法により,細管内面の面粗さ15.6μmRzを0.15μmRzに改善できることを確認した.
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