研究概要 |
本研究では,工期の短縮,生産性の向上に直結する重要な性能である直動メカニズムの加速度・速度性能を大きく向上させ,加速度980m/s^2(100G),速度20m/sを満足する直動サーボ機構の設計・試作と,その機構の高精度制御の実現を目指し,以下のことを行った. 1.新しい可動部を設計・試作し,その可動部の駆動性能を評価した.その結果,駆動信号改良の効果もあわせることにより,目標加速度性能を越える991m/s^2(101G)を達成した.但し達成速度は12m/sに留まった. 2.動的モデルを利用して,目標速度20m/sを達成するための条件を数値解析により調べた.その結果,現在使用している駆動回路を4倍に増加させることにより,現在の機構構造で目標速度を達成できることが明らかになった. 3.試作直動メカニズムにPID制御を適用し,精密位置決め実験を行った.その結果,立ち上がり速度や位置決め時間は,駆動信号の位相進み量,積分要素の特性に依存すること,位置決め精度は,駆動信号ノイズの影響を顕著に受けることが明らかになった.これらの知見を基礎に制御系を改良し,300mmステップの位置決め実験で,偏差5μm以下になるまでの時間約0.1s,位置決め精度0.5μmを達成した. 4.試作直動メカニズムを用いた位置決め制御系に,振幅200mm,周期1Hzの矩形波を目標値として入力し,その時の温度特性を昨年度購入したサーモグラフィを用いて調べた.その結果,可動部の温度上昇は2℃程度になることがわかった. 5.研究者が提案しているNCTF制御を改良し,より高いロバスト性を示すコントローラ構造を提案した.その結果,条件付の制限積分を利用することで,簡単な外乱オブザーバ利用PDコントローラよりも,慣性増加に対するロバスト性を高くできることを数値計算により明らかにした.
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