研究分担者 |
福澤 健二 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60324448)
張 賀東 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (80345925)
三枝 省三 (株)日立グローバルストレージテクノロジーズ, 技術開発本部, 部長
伊藤 淳 東芝デジタルメディアネットワーク社, コアテクノロジーセンター・磁気ディスク開発部, グループ長
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研究概要 |
ナノ構造として化学テクスチャに重点を絞り,テクスチャ形成条件の最適化,テクスチャ形成メカニズムの解明を進めるとともに,機械的摺動に対する減耗特性および修復特性を評価した.また,配列した分子層表面の摩擦力を測定する実験装置を構成した.さらに,分子シミュレーションを用いて,極性潤滑剤の表面モルフォロジーを定量化するための研究を進め,極性分子の層状配列に依存して膜表面に粗さが形成されるメカニズムを解明した. 1)配列層数に依存した相互作用の解明:wetting/dewettingの発生状況の観察,表面エネルギーの測定,段差状に形成した境界形状からの表面流動の測定により,分子層数,表面エネルギー,表面の不安定性の関係が,統一的に解釈することが可能となった. 2)化学的テクスチャ形成法の確立:PFPE系潤滑剤を用い,窒素雰囲気中においてUV露光することにより,DLC表面にナノ凹凸テクスチャを形成することに成功した.ナノ凹凸がUV非照射/照射境界に生じる分子流動によって形成されることを確認し,任意のナノ凹凸形状の形成が可能となった. 3)化学的テクスチャ付き潤滑膜の減耗・修復特性の比較:ピンオンディスク式の摺動試験器を用いて,減耗・修復特性を比較評価した.化学的テクスチャの形成は,AM3001では確実であり,また無極性潤滑剤Z03に対しても有効であるが,極性潤滑剤Zdolには無効であることを明らかにした. 4)分子動力学法による表面モルフォロジーのシミュレーション:PFPE分子に対応するばね・ビーズモデルを導入し,分子プローブ走査法を開発して,分子膜表面形状を同定するとともに,極性基の有無や分子膜の層数とモルフォロジーとの関係を定量的に評価した.また,極性末端基の凝集領域が生成されることによって膜表面の粗さが周期的に変動することを明らかにした.
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