配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2005年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2004年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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研究概要 |
単層カーボンナノチューブは,その直径と巻き方によって金属や半導体になるなどの電気的特性,高い熱伝導特性,極めて強靭な機械的特性より,光学デバイス,熱伝導デバイス,電子デバイスを始め,走査型プローブ顕微鏡の探針,高強度材料,導電性複合材料等の多岐に渡る応用が期待されている.これら応用の早期の実用化に向けては,基板上への単層カーボンナノチューブの高純度合成が望まれる.そこで本研究では,アルコール触媒CVD法を用いて,石英及びシリコン基板上への高純度単層カーボンナノチューブの合成技術を開発した. 従来の熱CVD法による単層カーボンナノチューブの合成においては,炭素源として炭化水素か一酸化炭素が用いられていた.研究代表者は炭素源としてアルコールに用いることで,極めて高純度の単層カーボンナノチューブが低温で生成できることを示した.熱・光デバイス等の応用に向けては,高純度の単層カーボンナノチューブをシリコンや石英基板に直接合成することが望まれることより,ディップコート法でコバルトとモリブデンの酢酸塩のエタノール溶液を基板に塗布し,これを熱酸化することで均一なナノ微粒子の基板への担持法を確立した.これらの技術を用いて,基板上に単層カーボンナノチューブが垂直に配向した膜の合成に成功した.また,CVD合成中にレーザー光の吸収を測定することで,垂直配向膜の膜厚のリアルタイム測定を可能にした.膜厚の時系列より初期活性及び活性失活時間を定量的に評価し,実験条件との相関を調べた結果,単層カーボンナノチューブの成長反応が1次反応で表されることが明らかになった.加えて,これらの結果とカーボンナノチューブの成長に関する分子動力学計算を併せて検討することにより,ナノチューブの成長メカニズムを考察した.以上の知見を統合し,アルコール触媒CVD合成法の改良及び最適化を試みた結果,20マイクロメートル超の高品質・高純度の垂直配向膜を再現性よく合成することが可能となった. さらに,石英基板上の垂直配向単層カーボンナノチューブ膜を用いて,偏光ラマン分光や紫外・可視・近赤外偏光吸収分光測定を行った.偏光ラマンによって,垂直に配向した単層カーボンナノチューブが特有のラジアルブリージングモードを有することを明らかにすることで,垂直配向状態が簡便に確認できるようなった.また,単層カーボンナノチューブ特有の偏光吸収特性も明らかになった.
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