研究概要 |
下記項目について研究を実施した. 1.HFC-32/水系についての水和物生成実験および界面張力測定 天然ガスを模擬するゲスト物質としてハイドロフルオロカーボンHFC-32を,界面活性剤として硫酸ドデシルナトリウム(以下SDSと略記)を用い,水和物生成過程の詳細な観察と共に,水和物生成速度(HFC-32ガスの消費速度によって評価)のSDS濃度依存性,さらにHFC-32/SDS水溶液間の界面張力の濃度依存性を系統的に調べた. 2.メタン/水系についての界面張力測定 4MPaまでの圧力条件下で使用できる懸滴法式の界面張力測定装置を製作し,メタン水和物が生成し得る温度・圧力条件のもとで,メタン/界面活性剤水溶液間の界面張力について一連の測定を行なった.界面活性剤としては,SDSに加え,疎水基の大きさが異なる硫酸テトラドデシルナトリウム(STS)および硫酸ヘキサデシルナトリウム(SHS)を使用し,それぞれについて界面張力の濃度依存性と溶解度を決定した. 3.メタン/水系についての水和物生成実験 4MPaまでの圧力条件下において水和物の生成過程を観察し得る装置を製作し,生成挙動を観察すると共に,生成速度(メタンガスの消費速度によって評価)と最終生成量について一連のデータを取得した.界面活性剤としては,SDS,STS,SHSの3物質を用いた.しかし,その後の検討により,試験容器壁面に沿って成長した水和物層が容器へのメタン供給口を塞いでいた可能性があることがわかったため,装置を改良し現在再実験を継続中である. 4.平板状冷却器の設置による水和物生成促進の試み 冷却された金属板を容器内のゲストガス(メタン)気相中より水溶液相中に懸垂させることで,水和物生成速度を増大させることを意図し,容器内に懸垂させることができる平板状冷却器(その内部に冷却液を流すコールドプレート)を製作した.しかし,第(3)項の再実験を優先させることとしたため,この平板状冷却器を用いた生成実験は未だ実施していない.
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