研究概要 |
本研究は,ホイール一体構造でダイレクトドライブを可能にするアウターロータ型多極SRモータの開発と,これを用いた電気自動車の実証試験を,2ヵ年の予定で行なったものである。 平成16年度 1.SRモータの動特性解析手法の構築:SPICEあるいはMATLABを利用してSRモータの動特性を精度良く解析する手法を構築した。 2.アウターロータ型多極SRモータの設計:この解析手法を用いて,1人乗りの小型電気自動車に適用するアウターロータ型多極SRモータの設計を行なった。 3.多極SRモータの製作と電気自動車の策定:上記の設計結果に基づいてアウターロータ型多極SRモータの製作を行った。これと平行して試験用電気自動車の仕様を決定して業者に発注した。 4.多極SRモータの駆動回路とコントローラの開発:多極SRモータを駆動するための電子回路,ならびにその電子回路の制御を行なうコントローラを設計し,製作を行なった。 平成17年度 1.車両本体の製作:本研究で開発したアウターロータタイプ多極SRモータを後輪に適用した電気自動車を試作した。 2.駆動回路とコントローラの改善:主要駆動回路とコントローラの基本設計は前年度に終えていたが,ここでは保護回路なども組み込んだ専用のプリント基板を設計・製作した。 3.走行試験:試作電気自動車の実走行試験を行った。直線ならびにカーブ,勾配においても特に問題なく走ることを確認した。平坦な直線道路では40km/h程度で楽に走行できることも確認した。 4.性能改善:SRモータの騒音低減のため,ダイレクトトルクコントロール(DTC)によるトルクリプル低減,ならびに循環モードの活用によるトルクリプルの低減法を提案した。 5.モータ最適設計法の確立:鉄損も考慮したSRモータ解析手法を開発した。 以上,本研究によりインホイール多極SRモータとこれを用いた小型電気自動車が実現された。インホイールSRモータによるダイレクトドライブ電気自動車は筆者が知る限り世界で初めてであり,本研究の所期の目的が達成されたものと考えられる。
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