配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2006年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2004年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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研究概要 |
本研究は、塩基対間に光学色素をインターカレートすることによって種々の光機能性発現が可能なDNA薄膜を用いた光信号処理デバイスの研究であるが、世界的にもまだ研究報告が少ないことから,材料の適用性を明確にしつつプロトタイプ素子の実現を目指すことを第一目標とした。 平成16年度は,色素ドープによるDNA膜の屈折率変化の解明と損失要因の追及及び作製プロセスの検討を進め、フォトクロミック色素によるDNA膜の屈折率変化が数%程度あること、屈折率の絶対値および屈折率変化には脂質の影響もあることが明らかとなったが、応答速度及び作製プロセスはさらなる改善が必要であることが分かった。平成17年度は,脂質と色素混合比などの最も安定な組合わせにより光一光制御による光路切替素子としての応答速度を評価し、制御光強度に依存した速度改善効果があることを見出し、数十ms程度の応答速度を確認した。この値は現在の実験装置リミットであり,実験結果は励起光強度を増すとさらに高速化が可能な傾向を示している。また,より高機能な動作を実現するために回折格子内蔵型デバイス素子製作プロセスの検討を進め,ある程度のon-off比を確認した。平成18年度は、これまでの結果を踏まえ、光制御型光路切替素子の限界解明と回折格子内臓型デバイスの試作を重点的に取組んだ。その結果,ホトクロミック色素ドープ光制御型光路切替素子はmsオーダーの応答速度が期待でき,一定バイアス光照射状態ではより小さな励起光強度でもms以下の応答であることが分かったが,励起光強度を強めると特性劣化があり、今後耐久性の向上が最重要課題であることが示された。また,グレーティング基板上のレーザ色素ドープDNA薄膜でレーザ発振に成功した。これは我々が知る限りDNA薄膜レーザとして世界初である。今後ドープ量の最適化・低しきい値化を進め、信号処理機能の実現可能性を明らかにする。
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