研究概要 |
近年,リサイクル社会がより一層進む動きの中で,「容器包装リサイクル法亅で規定されている透明プラスチックボトル,いわゆるペットボトルの再利用が従来以上に促進されている.そこで,本研究課題では,リユースのための自動分別システムを実現することを目指した. 平成16年度は,まず,円柱,四角柱,円錐などのプリミティブ形状と素材判別をレーザー光と超音波を用いて可能とするシステムの問題に取り組んだ.まず,ペットボトルのような透明物体に適用するためのレーザーレンジファインダの設計・製作を行った.そのために,レーザー投光系を小型の高精度5自由度のロボットアームで構成し,画像センサは本研究室で所有している受光系を改良して用いたシステムを設計・製作した.そして,シミュレーションと実験により,試作したレーザーレンジファインダの妥当性と改良点等を検討した.その結果,ペットボトルの3次元形状が所要の精度と測定時間で測定できる性能を有することが確認できた.次に,物体の素材判別のための超音波反射音圧波形の取得システムの設計・製作を行った.そのシステムは,複数の発信器と受信用の超音波センサアレイから成り,得られた超音波波形とGAを組み合わせて,素材判別が可能であることが確認できた. 平成17年度は実際に製品として市場に出回っている透明プラスチックボトルを用いて,これらの対象の形状と素材による識別を試みた.市販のペットボトルを識別するためには,物体表面の細かな形状変化の検出が必要となるので,6軸ロボットを用いたレーザーレンジファインダを用いた3次元計測システムを改良した.改良のポイントは(1)三角測量式をベクトル演算を用いて厳密化したことと(2)ロボットの制御方式を見直して,より高空間分解能で3次元形状を測定できることにしたことである.それにより,市販のペットボトルの3次元形状測定を可能にした.さらに,前年度の超音波を用いた形状認識システムを組み合わせて融合システムを構成して,市販のペットボトルの認識実験を行い,その有用性を確認した.また,実用化に向けて,測定時間の短縮についても検討した.実用システムではオンラインで行うことになるので,ラインの速度を止めない程度の時間で自動分別する必要がある.そこで,速度向上対策として,FPGAを用いた予備的な識別回路を設計し,これにより,計算機での負荷を軽減し,速度の向上を図った.
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