配分額 *注記 |
10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
睡眠時無呼吸症候群は,夜間の睡眠時に無呼吸・低呼吸による低酸素血症を頻回に繰り返す睡眠呼吸障害であり,とくに心不全患者の場合,予後が悪化するうえに心房細動が誘発される可能性も指摘されている.睡眠時無呼吸症候群の治療法としては持続気道陽圧療法が有効であるが,心不全患者では使用感が悪く次善の策である一定流量での酸素投与が行われるが,酸素飽和度の低下を十分に制御できない.そこで,本研究では,睡眠呼吸障害をもつ心不全患者の酸素飽和度を適切なレベルに維持する制御システムを構成することを目的として,睡眠時無呼吸症候群の心血管系への影響についての調査,酸素投与時の患者の血圧,心拍数,呼吸運動,酸素飽和度等の測定データに基づく酸素飽和度変化のモデル化,および構成モデルを利用した酸素投与法の検討を行った. まず,睡眠呼吸障害の心血管系への影響については,閉塞性睡眠時無呼吸患者に対して経鼻持続気道陽圧療法を1日3時間行うことにより拡張期血圧が有意に低下すること,および心拍数が有意に低下することが確認でき,酸素飽和度制御の際には酸素飽和度を90%以上に維持する必要があることがわかった. また,酸素投与時の測定データに基づいて酸素飽和度変化をモデル化した結果,従来指摘されていた心拍数の酸素飽和度への影響はほとんどないこと,有呼吸時と無呼吸時のモデルがそれぞれむだ時間を除いて2次の状態方程式で記述できること,心不全の影響とみられる酸素飽和度の低下が頻回に起こらない場合にはモデルの応答と測定値がほぼ一致することがわかった.さらに,ゲインおよび時定数の個人差はおおむね3倍程度以内であることがわかった.さらに,酸素投与に対する応答にはむだ時間が含まれるので,状態予測制御系を構成し,目標値を93.5%としてシミュレーションを行った結果,無呼吸状態が長時間継続しない場合には酸素飽和度を90%以上に維持できることが確認できた.
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