研究概要 |
社会基盤構造物維持管理の高度化と開発の効率化を実現するため,局地風況の高精度予測は重要である.本研究では風環境情報システムを構築し,高密度の風況データを提供すると共に,本システムの精度評価を行った.本研究から得られた主要な結果は以下に示す. まず,本研究では力学統計局所化(Dynamical Statistical Downscaling)を提案した.この手法では地域気象モデルにより風の時系列データを求め,統計解析により地域風況を算出した.また非線形風況予測モデルと標準実風況変換(IRA : Idealizing and Realizing Approach)を用いて地域風況から局所風況への変換を行った.この手法は,微細地形を再現できると共に,海陸風や山谷風のような局地循環の効果も反映できる. そして,水平解像度2kmを有する10分間平均風速と風向に関するデータベースを作成した.関東地方沿岸における洋上風力賦存量はこのデータベースにより評価した.関東地方沿岸50kmまでの海域において2MWの風車を直径8倍の間隔で配置した場合には年間総風力発電量が277TWhに達し,東京電力の供給電力の94%に匹敵することが分かった. 最後に,本研究で提案された予測システムの有用性と精度を検証するため,竜飛岬と銚子気象台で得られた10分間平均風速データと比較した.本システムにより予測された年平均風速は観測データとよく一致し,予測誤差はそれぞれ4.6%と4.8%であることを明らかにした..
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