配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2004年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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研究概要 |
本研究は,低温環境下に生息する微生物の硫黄酸化還元反応を活用し,低温で低有機性排水を処理可能な技術開発を目的とした。本開発装置は前段嫌気性UASBリアクター(10L)と後段好気性DHSリアクター(26L)で構成し,嫌気・好気循環操作により硫酸還元と硫黄酸化に必要な硫黄態の供給(硫黄サイクル)を行った。連続運転試験では,低温低有機性排水である不凍液排水をUASB温度8℃,HRT12時間の条件で供したところ,最終処理水でCODcr 30mg/L以下(BOD 15mg/L以下),CODcr除去率90%以上の処理性能を得ることができた。また,システム内に生息する硫黄サイクル微生物(硫酸塩還元細菌と硫黄酸化細菌)の温度依存性調査を行った結果,5℃の低温環境下でも硫黄の酸化還元活性を有することから,硫黄サイクル微生物が低温有機物分解に寄与することを確認した。 さらに本研究では,実規模の反応槽に実廃水を600日以上に渡り供給することで本会水処理システムの運転特性を評価した。システムは,脱窒槽,UASBリアクター,DHSリアクターで構成し,循環ラインを設けた。この結果,流入全COD濃度331±117mg/L(全BOD128±32mg/L)は,水理学的滞留時間24〜12時間,循環比2〜0.3の条件下で,最終のDHS処理水で全COD77±33mg/LL(全BOD7±3mg/L)まで分解された。流入SS量に対する反応槽へのSS蓄積割合は2〜3%と低かった。最終処理水のSS濃度は13±61ngSS/Lと低く,窒素除去率も循環比2の条件下で58±7%にまで達した。微生物代謝活性試験とFISH解析から下水温度が10度よりも低下するときにメタン菌に代わって,硫酸塩還元菌,硫黄酸化菌が有機物の分解に寄与することがわかった。
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