配分額 *注記 |
15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2005年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2004年度: 9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
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研究概要 |
本研究は、強風時に山稜を超える山麓付近での強風域発生現象について,地表面温度層の分布状態に着目し,周辺地形形状との相互作用がより大きな突風の発生にどのように関わるかをいくつかの観測事例と数値計算で明らかにしたものである。 1.小型風洞の中で接近流温度勾配の生成方法として,風洞床面の冷却ボックスと山稜模型表面の加冷に,ニクロム線を利用した接近流上層部の加熱装置を併用することで,より強い気流の温度勾配の実現を可能にした。 2.2次元山稜模型を超える山麓付近では,温度勾配すなわち大気安定度が強風域発生に強く影響することが風洞実験からわかった。 3.谷筋を有する2次元山稜模型を使った風洞実験を行ったところ,風下山麓部に単純2次元山稜地形とは異なる風速増加域が発生することがわかった。 4.市販の流体解析ソフトを用いて,谷筋山稜模型を超える風速場でのパラメータスタディを行ったところ,強風発生は概ね風洞実験結果に一致した。 5.台風経路から300km離れていたにもかかわらず,2004年の台風0423号による強風被害が集中した佐賀県小城市付近での数値流体シミュレーションを実施したところ,風上側山地(標高1000m)の浅い谷筋が同地域の強風増速に強く影響することが分かった。また,初期条件(風速流入条件)に実際の高層気象データを適用することによって,現場での観測風速データにより近い結果が得られた。 6.しかしながら,高周波成分を含む瞬間風速の再現は現状の数値シミュレーションでは困難であり,最大瞬間風速の予測にはさらなる工夫が必要である。 7.1998年3月に局所的な強風発生が見られた福岡市西部地区について同様の検証をしたところ,周辺地形の影響とともにフルード数1.6程度の大気温度層の影響を考慮した方が,同地域での強い突風の発生を説明できることがわかった。
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