研究分担者 |
中島 英治 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (80180280)
野口 博司 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80164680)
森川 龍哉 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00274506)
荒牧 正俊 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (50175973)
小野寺 龍太 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40038021)
田中 將己 九州大学, 大学院・工学研究院, 学振特別研究員(DC)
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研究概要 |
材料を破壊から守る上で必須の破壊物理の進展を目指すと伴に,それに基づき,結晶性シリコンの加工性について研究した.このため,超高圧電顕法,原子間力顕微鏡法,赤外光弾性法等の実験的手法を駆使するとともに,「クラック-転位相互作用」の理論に基づき,クラック先端塑性域形成のメゾスケール・ダイナミクスシミュレーションを行った.具体的にはまず、まず板面{110}のシリコンウエハーを用い,クラック導入材について3点曲げ試験を行ない,その靭性値の温度依存性を測定するとともに,クラック先端の応力状態の赤外光弾性解析を行ない,その応力状態についての解析を進めた.併せて,同じ{110}面を膜面に持つ試片を準備し,超高圧電顕法を用いて亀裂先端近傍の三次元転位構造を,透過電顕解析した.それに呼応して理論的にもDr.Hartmaierの開発したプログラムを基本として,亀裂-転位相互作用を考慮した転位生成・増殖のメゾスケール・ダイナミクスシミュレーションを行い,転位論をベースとした材料の破壊過程と靱性に関する学理を追求した. また,以上の基礎研究の工学的応用にも目を向けるべく,Si結晶の加工性という観点に着目し,ボロン添加と変形速度の効果についても研究した.その結果,ボロン添加によりBDT温度の上昇が確認された.また変形速度を変化させ,脆性-延性遷移を律速する過程の活性化エネルギーを求めたところ,ボロン無添加試料では1.9eVとなり,従来,シリコン結晶中の転位移動の活性化エネルギーと良い一致を見せた.さらにボロン添加試料についてもBDTに関わる活性化エネルギーを求めたところ,2.5eVという値を得た.これはシリコン結晶の加工性を議論する場合も転位運動の難易をその基本指針と出来る事を示すものである.
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