研究分担者 |
尾坂 明義 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (20033409)
都留 寛治 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (50314654)
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (90281162)
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30050058)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2006年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2005年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2004年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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研究概要 |
ヒドロキシアパタイト(HAp)格子内イオン置換によるタンパク質吸着特性の制御を追究するために,HApおよび炭酸含有ヒドロキシァパタイト(CHA)を合成した。長期透析患者の透析アミロイドーシス症の原因物質とされるβ_2-ミクログロブリン(β_2-MG)と必須タンパク質のモデルである牛血清アルブミン(BSA)を指標物質として用い,その混合タンパク質水溶液中でのβ_2-MGに対するCHAの高い選択吸着能を明らかにしだ。安定同位体<13>^Cをエンリッチした炭酸源を用いてナノ結晶性炭酸含有ヒドロキシアパタイト粉末を合成し,.その結晶格子構造中の炭酸イオン,リン酸イオン周囲の局所構造を固体二次元<13>^C{1^H},<31>^p{1^H}異種核相関(HetCor)MAS-NMR分光法で明らかにした。透過型電子顕微鏡観察の結果からHApよりもCHAの粒子サイズは僅かに減少し,合成中に炭酸イオンの添加によって,結晶成長が抑制されたと考えられる。<13>^C{1^H}HetCor MAS-NMRスペクトルの結果によると炭酸イオン周囲の局所構造には少なくとも4種類のサイトカが存在し,いずれもCO_3^<2->イオンの状態で存在しており,HCO_3噂イオンは観測されなかった。OHサイトには少なくとも2種類のサイトが存在することが明らかとなった。 亜鉛含有量の異なるヒドロキシアパタイトを合成し,β_2-MGと必須タンパク質のモデルである牛血清アルブミン(BSA)を指標物質に用い,その混合タンパク質水溶液中でのβ_2-MGに対する選択吸着能とヒドロキシアパタイトの組成,結晶子径,比表面積,微細構造の関係について考察した。亜鉛含有量が増加すると,結晶子径は低下して比表面積は増加した。亜鉛含有量が増加するに伴い,BSAの吸着率は6.0から2.3%に減少しβ_2-MGの吸着率は28から94%に急激に増加した.亜鉛イオンがタンパク質吸着能に及ぼす影響を調べるために,亜鉛イオンを含有する水溶液にHApを含浸することによって,HAp表面に亜鉛を導入したZn/HApを作製した。結晶性および粒子サイズをほとんど変えることなくHApに亜鉛を導入した。β_2-MGの吸着サイトは亜鉛とその周辺の表面化学構造であると予想され,HAp構成要素イオン(Ca^<2+>,PO_4-<3->,OH^-)の一部を金属及び陰イオン種で置換することによって病因タンパク質に対する吸着特性をさらに向上できる可能性が期待される。
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