配分額 *注記 |
15,300千円 (直接経費: 15,300千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
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研究概要 |
世界中で微小領域における材料複合化の研究が急速に進んでいる.これは微小領域においてはバルク材では得られなかった機能が実現できるためである.これまで,これら機能材料に関しては磁性や光学的性質といった機能に関する研究が重点的に行われてきたが,近年,機能だけではなく力学的性質を把握することの重要性が認識されるようになってきた.力学的性質の中でも弾性定数は特に重要な量であり,構成要素の内部応力や弾性ひずみエネルギを算出する際には欠かすことができない.しかし,マイクロ・ナノスケール領域の弾性定数を絶対的に計測する手法は夫だに存在しない,そのため,微小スケールの複合材料の機能と力学との関わりもほとんど知られていない.本研究計画においては,以下の事項を達成することを目的とする: (1)局所弾性定数を絶対的に測定するための薪しい超音波共振顕微鏡を開発する. (2)複合材料の弾性的性質と機能,および内部組織との関わりを系統的に調べる. (3)これらを結ぶ理論モデルを構築する. 平成16年度においては,振動解析法の構築,振動子の設計指針,振動子材料の選定等の振動子プローブ部の確立に対する研究を集中的に行った. 平成17年度においては,接触にともなう共振周波数の変化率を計算する理論モデルを構築し,定量的に弾性定数を決定する手法の指針を確立した,また,系の減衰係数を測定することにより試料の局所領域の内部摩擦を評価することも可能とした.これに対する振動モデリングも行い,モデルの妥当性を確認した. 平成18年度においては,セラミックス溶射皮膜の断面における弾性定数の分布を計測することに成功した.溶射皮膜の膜厚方向の弾性定数分布を定量的に評価した研究は初めてである.基材と皮膜の界面において弾性定数が大きく低下する領域が検出され,剥離強度低下を強く示唆する結果を得た.本手法により,微小材料の健全性を弾性定数を介して定量的に評価することが可能となった.
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