配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2004年度: 8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
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研究概要 |
強磁性形状記憶合金は,強磁性と形状記憶効果(SME)の2つの機能を併せ持つ多機能材料であり,磁場駆動アクチュエータ材料への応用が期待される.磁場誘起SMEは高速応答と遠隔操作を可能にする.本研究では,組成の異なるNi_2MnGa合金スパッタ膜を作製し,SMEを発現させるために拘束時効処理を施し,SMEに及ぼす組成の影響を調査した.なお,合金膜のマルテンサイト(M)変態温度は室温以上で,かつ,キュリー温度(T_C)以下に制御した.また,本合金膜を実用化する際に重要な機械的特性に及ぼす温度および磁場の影響を調査した.さらに,実用的な低磁場で動作する強磁性形状記憶合金膜を開発するために,磁気的性質の向上が期待される強磁性元素であるFeを添加したNi_2MnGa合金スパッタ膜を作製し,その構造ならびにSMEに及ぼす磁場の影響を調査した. 得られたNi_2MnGa合金膜はいずれもM変態および逆変態に起因して温度変化に伴う可逆的な2方向SMEを示した.1K当たりのひずみ変化量が大きく,温度ヒステリシスが小さい拘束時効処理膜では,冷却過程のM変態温度近傍に温度を保持した場合,0〜5Tの磁場の印加-除去に伴い2方向SMEが確認された.また,Fe添加に伴い合金膜のM変態温度は低下し,T_Cは上昇した.得られたFe添加膜はいずれも無添加膜と同様に,温度変化に伴い2方向SMEが発現した.Fe添加膜に対して強磁場中X線回折を行った結果,磁場誘起M変態が生じることを直接的に確認した.さらに,冷却過程のM変態温度近傍に温度を保持した場合,温度一定下で1Tの磁場印加に伴うひずみ変化は,無添加膜では5Tの磁場印加の20%程度であったが,Fe添加膜では約40%と増大することがわかった.このことから,Fe添加により磁場誘起M変態が起こりやすくなり,低磁場でより大きな変形ひずみが得られることが明らかとなった.
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