研究概要 |
本研究は、材料などの試験観察を行う場合に必要となる試料の形状および表面性状を付与する装置と、できた試料の試験観察装置とを一体として備えた試料分折システムの開発を目的としている。形状および表面性状の付与においては、走行する細線ワイヤを工具としてすべての処理を行う、ワイヤ規準複合加工機の開発を行った。本加工機を用い、試験素材から、任意形状の試料を切り出し、仕上げ加工を実施した。また、この試料に対して繰り返し表面加工を実施し、加工ごとにSEMおよびEDS観察を行った。得られた2次元画像を用い、重ね合わせて3次元材料分布図を作成することが可能となった。 本研究で得られた結論は以下のとおりである。 (1)ワイヤ工具の交換やワークの取り外しが必要なく,同一機械上で,ワイヤ放電加工法および砥粒加工法が実施できる複合加工機の開発を行った。 (2)金属材料や絶縁性セラミックス材料に対し,多面切り出し加工から最終仕上げ加工まで実施できる加工機を開発した。 (3)本加工機による、最小4nmの切り込み量での多層加工が可能となった。 (4)銅・タングステンおよび鋳鉄に対して多層加工を実施し、SEMおよびEDS観察を行った。得られた2次元画像を重ね合わせることで、材料の3次元光分布図を作成した。 (5)減圧雰囲気で放電加工を実施することで、気中放電加工時よりひろい極間距離で放電が発生する。加工が不安定な気中において、減圧雰囲気で加工することで連続放電を安定して実施することが可能になった。
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