配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2005年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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研究概要 |
Zn^<2+>,VO^<2+>を含む硫酸塩水溶液からZn-V系複合電析を行い,その電析挙動と得られた電析膜の構造,分極曲線を調査した結果,以下のことが明らかとなった。電析膜のXPSスペクトルより,V元素は一旦VO^<2+>からV^<3+>まで還元された後,加水分解反応によりV_2O_3の形で取り込まれていることが示された。電析膜のV含有率は,電解液のpHおよび電流密度が高くなる程増加した。これらの条件下では陰極界面での水素析出量が増加し,Vイオンが加水分解し易くなったためと考えられる。Zn析出の部分分極曲線をVO^<2+>を含む場合と含まない場合で比較すると,VO^<2+>を含むことにより大きく分極することが分かった。この大きな分極は,陰極表面においてVイオンの加水分解により形成されるV酸化物の皮膜抵抗に起因するものと考えられる。SEM,EPMA像より,電析膜のV元素は,Zn板状結晶のエッジ部に偏析していることが分かった。電解液を攪拌すると電析膜のV含有率は低下したが,V元素の均一性は改善された。電析膜のZnの結晶配向性は,V酸化物が共析しない電析条件下では(0001)の基底面に優先配向しているが,V酸化物が共析する条件下では(1122)面への優先配向へと変化した。共析したV酸化物が電析Zn(0001)面の沿面成長を抑制していることが考えられる。3%NaCl水溶液中における電析膜の分極曲線より,V含有率が5mass%以下の電析物ではV酸化物の共析によりZn溶解反応のアノード分極曲線が分極していることが分かった。また,電解液を攪拌して得られた電析膜の腐食電流密度は静止液からの場合に比べ腐食電流密度が小さくなった。
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