研究分担者 |
野口 裕久 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70218303)
小茂鳥 潤 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30225586)
幾原 雄一 東京大学, 大学院・理工学研究科・総合研究機構, 教授 (70192474)
橋本 綾子 独立行政法人, 産業技術総合研究所・新炭素センタ, 研究員
西山 昭雄 三菱マテリアル株式会社, 総合研究所, 部長
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研究概要 |
本年度は最終年度であり,4元系窒化物を作製し,その評価を実施した.本研究の最終目的はクロム系薄膜にAl添加し,現在使用されているTi系窒化物薄膜を凌駕できるかを明らかにし,実用化研究への指針を示すことである.さらに本研究で得られた最良のCrl-xAlxN膜に少量のTiを添加した(Ti, Cr, Al, Si)N薄膜においては,Al含有量の増加に伴い,結晶構造が変化し,Al55at.%以下では立方晶単相を示した.また,Al58at.%以上ではAl含有量の増加に伴い立方・六方晶の混合相から六方晶単相へ結晶構造変化を起こした. (Ti, Cr, Al, Si)N薄膜の微小硬度は,結晶構造と関係があり,立方晶と六方晶とでは比較的,立方晶で高硬度が得られた.また,Al44.0at.%で最大硬さ31.0GPaとなった後,Al含有量の増加に伴い微小硬度が26.0GPaまで低下した.TEM観察で,立方晶(Ti, Cr, Al, Si)Nの結晶粒が5-10nm程度に微細化されており,それに対し,六方晶の(Ti, Cr, Al, Si)Nは50-200nmで粗大であることが確認された. 以上より,(Ti, Al)NにSiおよびCr元素を添加することにより,(Ti, Al)Nを凌駕するセラミックス薄膜が得られた.また,熱安定性と耐酸化性を向上させるのに,Si添加が効果的であることが明らかとなった.
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