研究分担者 |
高原 淳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (20163305)
山本 剛 九州大学, 工学研究院, 助教授 (20321979)
金田 昌之 九州大学, 工学研究院, 助手 (50346855)
中曽 浩一 九州大学, 工学研究院, 助手 (40363379)
森田 正道 ダイキン工業(株), 化学事業部, 主任研究員
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配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2004年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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研究概要 |
30-100μmの液滴を疎液面に射出し,溶媒の種類や蒸発速度を操作パラメータとして,液滴の乾燥工程を観察するととも,生成した薄膜の膜厚分布を測定することによって,以下の知見を得ることができた. (1)疎液面においては,初期溶質濃度が高いほど,蒸発速度が大きなほど,凹型の薄膜が形成しやすいことがわかった.これは,後退している接触線の固定時間が早くなることによって接触線固定時の溶液粘度が低くなり,接触線固定後も内部流動が起きやすいためである. (2)凹型の薄膜が形成しやすい親液面において,初期溶質濃度を高くすることによって凸型の薄膜が形成することを見出した.また,低粘度溶液しか扱えないインクジェットに対しては,沸点の異なる2成分溶媒を用いることで薄膜形状が制御できた. (3)2成分溶媒が薄膜形状に影響する直接の原因は,表面張力分布に起因するマランゴニ対流の撹拌効果ではなく,接触線が固定した時点での粘度が高くなることである. (4)蒸発溶液滴の内部流動の可視化を行った結果,対称軸上で上昇する循環流が観察された.この流れは,自由表面の温度分布に起因するマランゴニ対流では説明できない. (5)蒸発液滴の数値解析モデルを構築した.事項(4)の内部循環流について検討した結果,循環流の主な原因は,濃度差に起因したレイリー・ベナード対流であることがわかった. (6)初期溶質濃度が高くなるほど内部流動が激しくなることが実験的に確認できた.この予想外の結果も,内部濃度差に起因したレイリー・ベナード対流で説明できることを示した. (7)親液面と疎液面をストライプ状にパターン化した表面を調製し,親液面に薄膜を形成させることに成功した.その際,液滴が分裂して親戚面のみに薄膜が形成するためには,疎液面上での接触線の固定時間を遅らせることが重要であることがわかった.
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