研究概要 |
NO_x吸収法は含酸素排ガス中の希薄なNO_xを効果的に除去できる。比較的低温で反応が進み、酸素共存下においてNO_xを吸蔵し、昇温や還元雰囲気下におくことで触媒を再生できるといった特長がある。しかし、排ガスには燃料の硫黄成分に由来するSO_2が存在するため、SO_2がNO_x吸蔵材と反応して安定な硫酸塩を生成してNO_x吸蔵を阻害する。TiO_2,Pt/TiO_2はSO_2の吸脱着が容易でありSO_xに耐性があることが報告されているが、Pt/TiO_2ではNO_x吸収活性がほとんどないため、塩基性酸化物(M_xO_y,M=Li,Na,K,Cs,Sr,Ba,La)を添加し、その効果とSO_2の影響について調べた。これらの塩基性酸化物の添加によりNO_x吸収量は増大したが、SO_2が共存すると、Li,La添加試料以外ではNO吸収量は著しく低下した。FT-IR測定の結果、Li,La添加試料以外では、SO_2吸収開始直後から安定な硫酸塩が形成された。これに対しLi,La添加試料では、安定な硫酸塩を形成する速度が遅く、まずSO_2は表面吸着種として存在し、徐々にバルク中に硫酸塩が形成されることが分かった。このため、SO_2共存によるNO吸収量の低下がほとんどないものと考えられる。しかし、La添加試料では硫酸塩生成速度が遅いものの、いったん硫酸塩が形成されると、非常に安定であることが明らかになった。一方、Li添加試料では、安定なLiTiO_3として存在しており、SO_2吸収で形成された硫酸種の吸着が弱く、容易に硫酸種が脱離するものと考えられる Pt-Li_2O/TiO_2について、接触時間、NOまたはNO_2濃度を変えて吸収一放出反応を行うことにより、吸収一放出反応機構を検討した。1)NO_xの吸収量はW/Fが大きくするほど大きくなり濃度が高くなるほど大きくなった。2)NOに対し、酸化反応を伴わないNO_2の吸収のほうが吸収量が大きくなった。NO_2吸収反応では吸収量はW/Fの値に比例した。3)NO_2の吸収反応モデルを構築した。NO_2の吸収については触媒反応を考慮しない吸着反応速度式で整理できると考えられるため、触媒層を段に分け、完全混合槽が連続した反応器と仮定し、吸収曲線を模擬するモデルを得た。反応器位置x、時刻tにおけるNO_x吸収量は、被覆率をθとすると、Vx,t=exp(-1.75θ)Vin(1-θ)-0.0242exp(2.000)θで表されることが分かった。
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