研究概要 |
1.音波印加による気相中熱伝達の促進効果に関する基礎実験 Tiディスク(直径200mm,厚さ50μm)をシリコンラバーヒーター表面に乗せ、断熱材をベースとしたAl_2O_3ブロック内部に水平に設置した。ディスク半径方向の表面温度分布を測定するため,熱電対10個をディスク下部に固定し,ヒーターで加熱した。同時に,ディスク表面の150mm上方に固定したチューブ(内径7.5mm)を通して空気を吹き付け,ディスク温度が安定するまで音波印加を施した。音波は,Hartmann噴気発音器を用い,ディスク表面から300mmの距離に設置して、周波数17.2kHz,強度148dBで発生させた。ディスク表面に対する音波入射角や空気流速,開始時の表面平均温度等を変化させながら,熱伝達係数を測定した。その他,ガス流れと伝熱現象について,CFDソフトウェアPhoenicsを用いて数値シュミレーションを行った。その結果,音波印加により,ディスク表面からの熱損失速度が最大3倍まで増加することが分かった。この影響は,空気流速及び音波入射角が増加するにつれて減少する。 2.高温排ガス中NOにおける音波印加の効果に関する実験 長さ80mm、内径6mm、外径8mmのグラファイトチューブを8本、束ねて石英製反応管に設置し、抵抗炉を用いてAr雰囲気で所定の温度(800〜950℃)まで加熱した。温度が安定した後、導入ガスをAr+NO(953ppm)ガスに切り替えて、NOとグラファイトとの反応を起こした。ガス分析計を用いて、排出中のNO濃度、CO濃度、CO_2濃度をそれぞれ測定した。NO濃度は混合ガス中の初期濃度から低下して、一定となった後、再びNO濃度が安定するまで音波発生装置を用いて反応管に音波(周波数6.9〜17.2kHz,強度148〜159dB)を印加した。現在、得られた音波印加前後のNO濃度差から音波の反応促進効果を検討している。
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