研究課題/領域番号 |
16360454
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
リサイクル工学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
上野 晃史 静岡大学, 工学部, 教授 (30135420)
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研究分担者 |
東 直人 静岡大学, 工学部, 助教授 (50192464)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
2005年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2004年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | 塩化ビニル / 塩化カルシウム溶融塩 / 塩素ガス回収 / DEACON反応 / 酸素ガス / シリカ / 酸化チタン / 珪酸カルシウム / 塩化カルシウム / 塩素ガス / 酸化カルシウム / 熱力学的制約 / 溶融塩 |
研究概要 |
廃塩ビの脱塩素工程で排出する塩化水素ガスは、排煙中に消石灰スラリーを散布し、塩化カルシウムとして塩素を固定したのち埋め立て処理に回されている。しかし、埋め立てられた塩化カルシウムは地下水などを通して溶出し、広領域における土壌汚染などの被害が予想されるので、環境保全の視点からは好ましい方法とはいえない。本研究ではこの塩化カルシウムから塩素ガスを回収し、ふたたび化学工業用原料として利用するために必要な技術の開発を目的とした。塩素ガス回収の基本となる化学反応は「CaCl2+1/2O2=CaO+Cl2」であるが、この反応は大きな吸熱反応であり、熱力学的には進行しにくい反応である。そこで、本研究では塩化カルシウムを900℃で加熱溶融し、そこに過剰の酸素ガスを吹き込んで反応速度の改善を試みた。しかし、反応が進行しても副生するCaOが多くなると逆反応も進行し、せっかく生成した塩素ガスがもとの塩化カルシウムに戻ってしまう。 昨年度はこの問題を解決するため、塩化カルシウムにシリカ粉末を適当量添加し、副生したCaOを珪酸カルシウムとして固定することで逆反応の進行を抑制し、塩素ガスの回収率を70%にまで改善できた。 今年度は塩素ガスの回収率80%を目標とし、シリカ添加による速度論的な影響を調べたうえで、シリカに代わる新規な添加物の探索について検討した。また、これまで用いてきたバッチ式反応装置から連続供給型反応装置への転換も試みた。以下に、その結果について述べる。 (1)シリカ添加における速度論的な影響:シリカを添加しない場合の正反応の活性化エネルギーは156KJ/mol、逆反応の活性化エネルギーは-51KJ/molで逆反応の活性化エネルギーが大きな負の値であることから、逆反応が速やかに進行することが示唆された。一方、シリカを添加した場合は正反応の活性化エネルギーが8KJ/molと大きく減少し、また逆反応の活性化エネルギーも-44KJ/molと若干改善された。これらのことから添加したシリカは副生CaOと容易に反応し、逆反応の進行を効果的に抑制していると結論できた。 (2)シリカに代わる添加物の探索:シリカ以外の金属酸化物を添加して塩素ガス回収率の改善を試みたところ、酸化チタンの有用性が明らかとなった。シリカは塩素回収反応の初期に有効に働くが、反応中盤以降の作用は十分でないことを確認していた。一方、酸化チタンは特に反応中盤以降の作用が大きく、反応時間全般にわたって副生CaOの固定化能が維持され、この揚合には塩素ガス回収率も目標とする80%が達成できた。 (3)連続供給反応装置への転換:反応中に生成する珪酸カルシウムを反応器の底部に集め、これを逐次反応器外に排出することにより連続反応の進行を試みたが、実験上の危険が多いため、断念せざるを得なかった。
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