研究概要 |
平成16年度は酸化性雰囲気における鉄酸化細菌とウランの相互作用を,平成17年度は還元性雰囲気におけるそれについて調べた。オートクレープによるガラス器具の滅菌処理,クリーンベンチ内での培液のフィルター滅菌処理,鉄酸化細菌の植菌作業,分光器を用いた分析作業は両雰囲気とも同様に行った。 酸化性雰囲気では,鉄酸化細菌の存在下で二酸化ウランを溶解することができ,2m mol dm-3(-3はsuperscript)のウラニル溶液を得た. 還元性雰囲気での培養の際には,培養は以下の手順で行った。まず,培液とウラン溶液と鉄酸化細菌をクリーンベンチ内でガラス容器に封入した。このガラス容器をHe雰囲気下のグローブボックス内に持ち込み,培液を混合ガス(H_2 80%,CO_2 20%)でバブリングし,容器内のガスを混合ガスに置換し,この容器を密封した。これをインキュベーター内で恒温保存し,菌の培養を行った。還元性雰囲気の実験では,鉄酸化細菌とウラン(VI)との相互作用を調べた。還元性雰囲気においては,鉄酸化細菌は鉄(III)を鉄(II)に還元する能力を持っている。そこで,還元性雰囲気で鉄酸化細菌はウラン(VI)に対してもウラン(IV)に還元する能力を有するのか調べた。ウランの価数の変化はアルセナゾ(III)法を用いて定量的に調べ,同時に還元のメカニズムを明らかにするために,溶液中の酸化還元電位ならびにpHを測定した。還元性雰囲気の試験の場合,ウランの実験開始時の価数の調整が特に重要と考えられるため,特にこの点を注意して実験を行った。次に,還元雰囲気における鉄酸化細菌-鉄-ウラン共存系における鉄酸化細菌の培養実験を行った。鉄が3価の場合,鉄酸化細菌は鉄を還元する能力を有するが,このときウラン(VI)は直接的には還元されなかった。
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