研究課題
基盤研究(B)
ダイニンは微小管と相互作用して運動を発生するモータータンパク質であるが、ダイニン分子において微小管結合部位とATP加水分解部位という非常に基本的な機能の実態の解明を試みた。まず、ダイニンモータードメインのATP結合部位(P1-P4)を含む組換え体の解析から、P1とP3の2ヶ所にATPase活性があり、P1が活性を持つためには隣のAAAモチーフに存在する特異的なアルギニンが必要であること、P3についても同様であることが明らかになった。ダイニンの運動特性を詳細に調べるために、ダイナクチンなどの付随物を含まず、かつ運動活性の高い細胞質ダイニンを脳組織から精製し、1分子ダイニンの運動特性を、光ピンセットを用いたナノ計測を行った。その結果、ダイニンは連続運動性を有し、8nmのステップを刻みながら微小管のマイナス端に向かって動き、最大力7pNを出すことが明らかになった。これらの挙動から、ダイニンはキネシンと同様なhand-over-handメカニズムで運動していることが示唆された。また、ダイナクチンp150フラグメントを利用して、無負荷状態のダイニン1分子の微小管との相互作用を観察したところ、ヌクレオチド状態による微小管との結合親和性の違いが明瞭に区別され、ADP・Pi状態でもっとも弱いことがわかった。さらに、ダイニン運動発生メカニズムの鍵となる、ダイニンと微小管の相互作用を明らかにするために、ダイニンの微小管結合部位であるストークのコイル部の長さの異なる一連の組換え体を作製し、微小管に対する親和性を調べた。コイル部が短いものより、コイル部が長くcoiled-coil構造をとっているものの親和性が低いことがわかり、コイル部の構造変化により微小管との結合解離を調節する可能性が示唆された。
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