研究課題
基盤研究(B)
1.Mid1の機能に重要なアミノ酸残基の役割を明らかにする目的で、Mid1のアミノ末端から356番目のフェニルアラニン残基(Phe-356)に注目し、Phe-356をさまざまなアミノ酸に置換した。Phe-356に注目した理由は、先の研究でMid1活性に重要であることを突き止めていたからである。結果、親水性のアミノ酸残基群に置換すると細胞の生存率とCa^<2+>の取り込みの両方が低下した。この結果は、Phe-356の疎水性として性質がMid1の機能に重要であることを示唆する。2.Mid1が細胞内のどこに存在するのかを、Mid1に対する抗体を用いて間接蛍光抗体法によって調べた。その結果、Mid1は細胞膜と小胞体膜に存在することを明らかにした。この結論は、別の実験法(すなわち細胞分画法とイミュノブロット法)によっても支持された。さらにMid1はジスルフィド結合により多量体を形成していることを明らかにした。3.Mid1タンパク質の細胞レベルでの活性制御機構を調べるために、mid1変異株の致死性を相補できる多コピー抑圧遺伝子を単離した。塩基配列とアミノ酸配列の解析により、この多コピー抑圧遺伝子はSPA2遺伝子の5'末端が欠けたもの(SPA2ΔN)であった。Spa2タンパク質は細胞の極性伸長を制御することが知られている。SPA2ΔN遺伝子からSpa2ΔNタンパク質が多量に発現すると正常なSpa2の細胞内局在が異常となり、細胞が極性伸長を行えなくなる。このことにより、Mid1がはたらく時期が来ないので、結果的にSPA2ΔN遺伝子がmid1変異を相補したことを明らかにした。4.Mid1と強調的にはたらくことが遺伝子学的に示されているCch1との機能相関を調べる目的で、CCH1遺伝子をクローニングした。この遺伝子はこれまで長年にわたりクローニングが不可能とされてきたものである。我々はベクターを工夫してそれに成功した。これを使って、Mid1とCch1が共存して存在することが1つのCa^<2+>チャネルとしてはたらくことに不可欠であることを分子レベルで明らかにした。5.上記の研究の過程で、Mid1およびCch1と機能上または構造上似ている植物のホモログの研究でも成果を挙げることができた。1つは、Cch1と2次構造が似ているイネの電位依存性Ca^<2+>チャネル候補であるOsTpc1の薬理学的性質を調べた。その結果、動物の電位依存性Ca^<2+>チャネルのブロッカーであるベラバミルとニフェジピンによってOsTpc1のチャネル活性は阻害された。この結果から、OsTpc1が電位依存性Ca^<2+>チャネルであることを示唆した。また、OsTpc1は細胞膜に所在することも明らかにした。2つ目は、mid1変異株の致死性を相補するシロイヌナズナの遺伝子(MCA1と命名)を単離し、機能を調べた。その結果、Mca1は、植物体において、機会刺激に応答してCa^<2+>を流入させる伸展活性化Ca^<2+>チャネル活性をもち、根の接触刺激応答に必要であることを明らかにした。
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