研究分担者 |
山岸 順子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (60191219)
小柳津 広志 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (70177301)
岡野 正豪 農業, 生物系特定産業技術研究機構・東北農業研究センター, 業務科長 (50355335)
江波 義成 滋賀県農業総合センター, 環境部, 主任主査(研究職)
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配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
1.研究手法開発 (1)細菌と糸状菌のバイオマス比を推定するために,基質誘導呼吸(SIR)法と直接検鏡法の改良を行った.細菌バイ1オマスの糸状菌バイオマスに対する割合は,土壌では約1,リターでは0.1以下であった. (2)地表の糞の量からミミズのパイオマスを推定する方法について検討した. (3)従来のリターバッグ法を改良し,円筒型のリターパッグを用いる方法を開発した. 2.試験結果 (1)カバークロップのリピングマルチ利用により,土壌の糸状菌が細菌に比べて優先すること,土壌動物パイオマスが増加すること,高次の栄養段階にある土壌動物が豊かになることが明らかになった. (2)不耕起栽培により土壌表層付近の微生物パイオマスが増加するが,これに対応して線虫類や小型節足動物の個体数が増加する場合と,そうでない場合とがあり,体の大きな動物ほど耕起による負の影響を受けやすいという従来の定説には再検討が必要である.なお,耕起から不耕起への転換では,微生物やミミズに比ぺて,中型土壌動物(ヒメミミズや小型節足動物)がすみやかに回復する.また,不耕起栽培下では,微生物,線虫類,および小型節足動物(ダニ類,トピムシ類)の作物の根近傍への偏在傾向が強いことも明らかになった. (3)植物残渣の分解速度は不耕起によって高まる場合があり,これには微生物,ヒミミミズ,ミミズの寄与が大きい. (4)水田での不耕起栽培では線虫類の生息密度が高く維持された. 3.以上より,カバークロップや不耕起といった環境保全型技術の導入により,土壌微生物活性は高まるが,土壌動物の生息密度や機能は土壌や管理方法によって群集ごとに異なることが明らかになった.有機物分解などの機能活用には,対象とする土壌生物に応じた管理方法について研究を行う必要がある.
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