配分額 *注記 |
15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
2006年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
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研究概要 |
本研究では,作物の葉の光合成活性の増加とその維持に関係する生理的機構を明らかにするため,窒素の吸収・同化,分配および再分配に関与する植物体各器官の窒素代謝ネットワークに着目して,根の窒素吸収・同化,窒素分配および再分配が葉の光合成活性に及ぼす影響とその要因を明らかにすることを目的に検討を行った.得られた研究成果は,以下の通りである. 1.稔実期の葉の光合成速度の低下の大きいダイズ品種は遅いダイズ品種に比べて,葉のRubisco含量および窒素含量の低下が大きく,このことには稔実期に根からの窒素吸収が低下し,葉から莢への窒素分配の割合が大きいことが関係した.稔実後期になると葉の老化促進作用のあるアブシジン酸の著しい蓄積が認められ,このこともRubisco含量の減少の一因であった. 2.登熟期の水稲葉の光合成速度の減少ともに,Rubisco含量および窒素含量は低下し,硝酸還元酵素活性の低下がみられ,また根の窒素吸収の減少が認められた.葉の光合成速度を高く維持する水稲品種は低下の大きい品種に比べてRubisco含量および葉の窒素含量を高く維持し,このことには根からの窒素吸収が多く,葉への窒素分配が大きいことと,根から葉に遅ばれるサイトカイニン量が多いことが関係した.また,根から地上部に送られるサイトカイニンは,根の窒素吸収には影響を及ぼさないが,葉の窒素分配割合を高め,葉への窒素の流入を高め流出を抑制した. 3.サイトカイニンにより水稲葉のRubiscoのmRNA蓄積量が高く維持された. 4.水ストレスによる水稲葉の窒素含量,Rubisco含量の低下には,サイトカイニンの減少が関係し,葉からの窒素流出,Rubisco分解が促進されることが主要因であった.
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