研究分担者 |
木下 剛 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (30282453)
赤坂 信 千葉大学, 園芸学部, 教授 (30143267)
小林 達明 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40178322)
柳井 重人 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30241946)
古谷 勝則 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10238694)
|
研究概要 |
最終年度である平成18年度は,地区スケールの緑の配置計画の可能性について検討を行うとともに,これまでの研究成果をとりまとめて研究の総括とした。 住宅地と街路空間を対象として放射エネルギー分布図を作成することにより,夏季の高温化を促進する土地被覆と冷却効果を持つ土地被覆を特定し,その効果を定量的に把握することができた。さらに,放射エネルギー分布図を利用して,温熱環境(または温熱景)制御のために,緑の配置によって蓄熱する景観要素をコントロールすることの可能性についての知見が得られた。中高木を植栽して緑陰を確保するとともに,土地被覆を芝生や裸地とすることで,地中への蓄熱を軽減することが予測された。また,表面温度と周囲の気温との温度差が大きく,放射熱伝達が大きい場合は発生源(各要素)から出る放射エネルギーに対して,適切な緑を配することで軽減できることが明らかとなった。 さらに,熱帯地方における日影変化・樹木形態(樹種や植栽密度の違いによる)・緑陰効果からみた緑陰地の特性について検証し,温熱景制御に資する緑の配置パターン(植栽デザイン)について明らかにした。具体的には,緑陰エリアは日中,樹冠と同程度の最小限の日影をつくり出すことから,人々の活動をサポートするための緑陰空間は日中において特に考慮されるべきである。緑陰地の空間形態は樹木のサイズ(樹高と樹冠により中規模,大規模,極大規模)によって規定される。全緑陰(Full Shade)は密植(暗い緑陰と樹冠の重層)により形成され,非全緑陰(Not Full Shade)は疎林(やや暗い緑陰と樹冠の接触)によって形成される。また,分離植栽は緑陰を形成しない(樹冠が離れており地表は明るい)。葉と枝張りの密度の濃い緑陰樹は緑陰地のデザインにおいて特に適している。緑陰空間の特性は,熱帯地方の特に日中,太陽が南中した際に重要な役割を果たす日影に重要な影響を及ぼす。日影の継続は人々の活動に高い快適性をもたらすことができた。 以上の結果から,温熱景制御に資する地区スケールでの緑の計画の在り方について有用な知見を得た。
|