配分額 *注記 |
13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2006年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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研究概要 |
本研究は,核多角体病ウイルス(nucleopolyhedrovirus, NPV)の感染により誘導される,昆虫細胞DNAの複製停止機構を解明することにより,NPVの感染戦略についての理解を深めることを目的として行ったものである.Autographa californica MNPV (AcMNPV)は,ウイルスDNAの複製に関わる遺伝子のいくつかを自らのゲノムにコードしているが,その中のpcna遺伝子は,ウイルスDNA複製への関与が推測されているにもかかわらず,機能が不明のまま残されていた.そこで,本研究ではpcna遺伝子を欠損した組換えAcMNPVを作出し,その増殖特性を調査することによって,pcna遺伝子の機能解析を行った.この解析により,NPVは宿主DNA複製装置を奪い取ることによって,宿主のDNA複製を停止させるのと同時に,宿主DNA複製関連タンパク質を自らのDNA複製に利用するという,NPVのユニークな感染戦略が浮かび上がってきた.さらに,宿主細胞DNA複製停止とアポトーシス誘導の関連を明らかにする目的で,種々のアポトーシス関連因子をカイコ培養細胞から同定し,ウイルス感染に伴う変動様相を解析した.この解析により,アポトーシス関連因子のウイルス感染に伴う変動は細胞種に特徴的であり,宿主に備わっているアポトーシス制御機構がNPVの宿主域決定に関連していることを示唆した.宿主細胞DNA複製停止とアポトーシス誘導の直接的な関連性については今後の課題として残された.
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