配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2004年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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研究概要 |
本研究は,対象昆虫種を初年度交付申請時よりアカイエカ種群蚊に変更し,対象生理活性物質を殺虫剤に限定して行った。1.アカイエカ種群3亜種の蚊で殺虫剤選抜により6つの高度ピレスロイド抵抗性系統を確立し,ネッタイイエカの62分子種シトクロムP450 cDNA配列を決定し,抵抗性終齢幼虫の感受性系統に対するP450遺伝子発現量比を「オリゴマイクロアレイ解析」した。抵抗性系統におけるP450遺伝子の転写レベルは,全比較ケースの19%が2倍以上(4%が1/2倍以下)で,従来の知見を超えて多数のP450分子種が過剰発現を介してピレスロイド抵抗性に寄与する可能性が初めて示された。この内,5〜6つの抵抗性系統で共通して2倍以上の発現量比を示す2つの分子種,ネッタイイエカ抵抗性系統JPPで48倍の発現量比を示す分子種(仮称P32),内部標準のリボゾームタンパク質遺伝子に匹敵する基本発現量を有しかつ4つの抵抗性系統で2倍以上の発現量比を示す分子種等が,ピレスロイド抵抗性寄与する確度の高いP450分子種候補となった。2.4つの分子種について大腸菌とS2細胞をそれぞれ用いる異種細胞発現実験を行い「代謝機能」の証明を試みたが,非放射性標識ピレスロイド化合物を基質に用いては明瞭な活性は示せなかった。3.JPP系統のP32遺伝子座には6倍量の遺伝子増幅があり,発現量比は300倍に達する結果を定量PCRで得た。JPP系統蚊のP32遺伝子座を含む周辺領域13kbの配列は,ネッタイイエカYHB系統由来のゲノムプロジェクトドラフト配列とほぼ一致し,かつP32遺伝子配列の反復が認められなかったことから,増幅遺伝子の縦列配置を仮定の下でP32遺伝子を含むDNA増幅単位長は小さくとも13kb超と推定した。転写調節領域が増幅単位内に限定して存在する可能性もあり,コピーあたりに顕著な過剰発現性を示すP32遺伝子発現の変異体は今後の「P450遺伝子発現調節」研究に格好な材料となりえる。
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