| 研究課題/領域番号 |
16380086
|
|---|
| 研究種目 |
基盤研究(B)
|
| 配分区分 | 補助金 |
|---|
| 応募区分 | 一般 |
|---|
| 研究分野 |
食品科学
|
|---|
| 研究機関 | 京都大学 |
|---|
研究代表者 |
吉川 正明 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026572)
|
|---|
| 研究分担者 |
谷 史人 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70212040)
大日向 耕作 京都大学, 農学研究科, 講師 (00361147)
大森 謙司 田辺製薬(株), 探索研究所, 主席部員
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
| 研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
| 配分額 *注記 |
15,700千円 (直接経費: 15,700千円)
2005年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2004年度: 8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
|
|---|
| キーワード | novokinin / アンジオテンシン / 血圧降下作用 / 育毛促進作用 / 摂食抑制作用 / β-lactotensin / 胆汁酸分泌促進 / 学習促進作用 / Novokinin / アンジオテンシンAT_2レセプター / プロスタグランジンE_2 / EP_4レセプター / Angiotensin III / 動脈拡張 / 血圧降下 / プロスタグランジン / 抗脱毛作用 |
|---|
| 研究概要 |
食品タンパク質由来の生理活性ペプチドの多くは内因性ペプチドと共通のレセプターを介して作用するが、それらはサブタイプ選択性を内因性ペプチドと異にし、マイナーサブタイプに選択的な揚合がある。本研究ではこのようなペプチドを用いて、マイナーサブタイプレセプターの新機能の解明を図った。
β-ラクトグロブリンから派生するβ-lactotensin(HIRL)はニューロテンシンレセプター主要サブタイプであるNT_1レセプターを介して回腸収縮作用を示す一方、マイナーサブタイプであるNT_2レセプターを介して鎮痛作用、および血清コレステロール低下作用を示すことを見出していたが、胆汁酸分泌促進、および学習促進作用を示すことを新たに見出した。その際にNT_2レセプターの下流でドーパミン系を介していることが示唆された。実際、β-lactotensinが線条体および側座核からのドーパミンの放出を促進することを示す結果がマイクロダイアリシス法により得られた。
卵白アルブミン由来の動脈弛緩・血圧降下ペプチドovokinin(2-7)(RADHPF)のアミノ酸4残基を置換することによって得たnovokinin(RPLKPW)は、もとのペプチドの約1/100の用量に相当する0.lmg/kgの経口投与で自然発症高血圧ラット(SHR)の血圧を降下させる強力なペプチドである。novokininはアンジオテンシンレセプターサブタイプの一つであるAT_2レセプターに対して親和性を有し(Ki=7.35μM)、その動脈弛緩および血圧降下作用はAT_2アンタゴニストであるPD123319によってブロックされることから、AT_2を介して作用する最初の血圧降下ペプチドであることが判明した。novokininの動脈弛緩および血圧降下作用はまた、COX阻害剤であるインドメタシン、およびプロスタグランジン(PG)I_2レセプターサブタイプの一つであるIPレセプターのアンタゴニストであるCAY-10441によってブロックされることがわかった。腸間膜動脈においては、AT_2レセプターの下流でPGI_2が動脈弛緩・血圧降下に関与することを意味している。novokininはまた、剃毛マウスにおいて育毛促進作用、新生ラットにおいては抗ガン剤etoposideによる脱毛を抑制する作用を示した。抗脱毛作用はAT_2アンタゴニストによってブロックされることから、AT_2レセプターが関与していると考えられる。抗脱毛作用はインドメタシンおよびEP_4アンタゴニストであるAH23848によって阻害されることから、PG_2の放出とEP_4レセプターを介することがわかった。さらに、novokininはマウスへの経口投与(300mg/kg)、または脳室内投与(30nmol/mouse)の際に、摂食抑制作用を示した。この作用もAT_2アンタゴニスト、インドメタシンおよびEP_4レセプターアンタゴニスト(ONO-AE3-203)によってもブロックされることから、novokininはAT_2レセプターの下流でPGE_2の放出を促進し、EP_4レセプターを介して摂食抑制作用を示すことがわかった。また、angiotensinIIおよびIIIも脳室内投与により摂食抑制作用を有することを見出した。
以上のように、AT_2レセプターはPG類の放出を介して、種々の新レい作用を示すが、動脈においてはPGI_2-IPレセプター、毛包および脳においてはPGE_2-EP_4レセプターという異なったPGE_2レセプターサブタイプが動脈弛緩、抗脱毛および摂食抑制作用を仲介していることは興味深い。
|
