研究課題/領域番号 |
16380099
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学・森林工学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
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研究分担者 |
向井 譲 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80283349)
秋山 侃 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10283318)
水永 博己 静岡大学, 農学部, 教授 (20291552)
王 権 静岡大学, 農学部, 助教授 (50402235)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
2006年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | ブナの隔離分布 / リモートセンシング / 森林生態学 / 遺伝子 / 緑の回廊創出 / ブナ稚樹の生存条件 / ブナ林再生のロードマップ / 衛星画像 / 生態学 / 生態系修復 / 海抜高 / 生理学 / 緑の回廊作成 / ブナ / 隔離分布 / 生理生態モデル / ハザードマップ / 自家不和合 / ブナ苗木 |
研究概要 |
1)隔離状態で現存するブナ林の繁殖維持機構の数量的評価 第1節で述べたように、位山演習林(岐阜大学:向井教授の転出)や富士山のブナ林を対象に、個体群の空間的遺伝構造が花粉による遺伝子流動を通じて堅果生産に及ぼす影響を明らかにするため遺伝学的な解析を進めた。観測タワーやクレーン車を利用してブナの自然受粉堅果を採集し、その充実率を調べると同時に、充実堅果より育成した実生の遺伝子型をマイクロサテライトDNAマーカを用いて解析し、花粉親を同定した。その結果、隔離状態にある富士山のブナ林でも、2003年は堅果の充実率が高く、自然交雑の90%以上が、わずか150m×100mの試験地内の個体間でおこなわれ、交雑個体間の平均距離は約37mであった。また、自殖率は5%程度であり、ブナの自家不和合性は完壁ではないことが明らかになった。個体間の距離と花粉親の個体サイズが交雑に影響を及ぼす主な要因として同定された。富士山と比較して個体群サイズが大きく、孤立化が進んでいない岐阜大学位山演習林でも同様の解析をおこなったが、富士山と同様に個体間の距離が交雑に影響を及ぼすことが明らかになったが、花粉親のサイズに関しては明瞭な傾向は得られなかった。さらに、空中花粉の密度と堅果の充実率とを同時に調査した結果、空中花粉の密度が高い時にに受粉した結果の充実率が高いことが明らかになった。以上の結果、一定以上の花粉密度があることが堅果生産に影響を及ぼす大きな要因であること、個体レベルで孤立状態にない限りブナの交雑は近隣の個体間で行われることが明らかになり、必ずしも当初考えていたメタ個体群における近交弱勢電子の共有情況が堅果生産に影響を及ぼす主要因ではないことが判明した。今後は遺伝子流動の解析のための林分構造解析などもう少し生態学的な要素も加味した野外遺伝実験を企画する必要が生じた。詳細は別紙Canadia Journal of Botanyの受理論文を参照されたい。 2)モートセンシングによるブナ隔離分布の確認 主として西日本や九州の山岳に散在するブナ林を対象に、衛星画像を利用して実際のありかを探査することを目的とした。高分解能衛星(IKONOS)およびランドサット衛星画像を組み合わせて行われた(複合画像処理)。その結果抽出率はおよそ90%であった。実用的な段階に達したと評価できる。 3)ブナ稚樹の健全な更新と総合的な復元プログラムの作成 ブナ稚樹とササとの競合およびブナ上木との関連性について論究した。ブナが再生する条件が明確にされた。しかし、多様なタイプのブナ林に関してはまだ十分な経験の積み上げができていないと判断される。ブナ稚樹の成長の可能性はブナ稚樹の光合成量の比較を立地条件間で比較して可能となるが、ササ群落内で生育しているブナの葉の光合成の応答速度や環境変化の履歴を考慮したモデルの開発とそれを利用した解析が十分でない。
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