配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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研究概要 |
近年,南九州では深層の地下水が関与した規模の大きな崩壊による土砂災害が目立つ。本研究の目的は,地下水が関与して崩壊が深層まで及ぶタイプの崩壊発生を予測する手法を開発することである。南九州火山地域で発生した地下水型崩壊地の現地調査に基づいて,崩壊発生を支配する因子を抽出し,崩壊発生の予測に有効な因子を提案した。 1.ひとつのタイプはシラス台地に発達した谷頭のシラス斜面脚部における崖錐崩壊である。崖錐崩壊が発生しているシラス谷は,ある大きさの地下水集水域をもっている。シラス谷における低水時の流量は,地下水の集水範囲に比例している。したがって,低水時の流量は,シラス谷の谷頭で崖錐が崩壊するおそれのある場所を抽出するための指標として有効である。谷頭の崖錐内の地下水はシラス台地に浸透した降水から供給されている。シラス斜面脚部の崖錐内の地下水位は降雨から数時間で応答し,これは速い流れである台地内のパイプ流に原因している。一方,シラス斜面崖錐部の地下水位変化には降雨から数カ月以上遅れて反応する長期的な変動もみられ,これは遅い流れである台地内のマトリックス流に起因している。遅い雨水移動による崖錐地下水位の高い状態と大雨時の速い雨水移動による地下水位の急上昇が重なると崖錐崩壊の危険が高まる。 2.もう一つのタイプは出水市矢筈岳の針原流域で発生した深層崩壊である。深層崩壊が発生する可能性のある場所は,深層まで風化が進み,かつ,地下水を貯留している斜面である。このような斜面を見出すためのいくつかの指標が,矢筈岳山体のモデル流域における地形・地質調査と水文観測に基づいて検討された。緩斜面の分布,帯水層と難透水層の境界,渓流の縦断における流量・電気伝導度・シリカ濃度の変化点,湧泉の分布などの指標は,深層崩壊発生場を予測することにとって有効であることが判明した。
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