研究課題/領域番号 |
16380118
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 孝芳 京都大学, 農学研究科, 教授 (70026144)
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研究分担者 |
巽 大輔 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293908)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
15,300千円 (直接経費: 15,300千円)
2005年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2004年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
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キーワード | 環境材料 / 生物材料 / セルロース / 液晶 / 分子特性 / 燃料電池 / バクテリアセルロース / ゲル / フェントン試験 / ツニシン / 繊維 / 曳糸性 / 電解質膜 / 還元能 |
研究概要 |
当研究の目的は、生物学的由来の異なるセルロースの分子特性を明らかにし、それらを高度に利用する方法を開発することにある。まずセルロースのマーセル化による分子特性の変化について、レオロジー測定および光散乱を用いて研究した。その結果マーセル化により溶媒への溶解性が低下すること、それに関連して、溶液中のマーセル化セルロース分子は一部凝集状態で存在することが明らかにされた。またバクテリアセルロースの液晶から、従来のレーヨンと同等かそれ以上の強度を持つ繊維が紡糸できることも判明した。またセルロースの溶解性は、セルロースのエチレンジアミンへの浸漬処理と凍結乾燥の組合せにより著しく促進されることも判明した。これらの結果は、セルロースの高度利用に際して必須の、セルロースの溶解に関する有用な手段となり得る。 さらにセルロースの燃料電池用膜としての利用に関する基礎的研究も行い、有用な結果を得ている。特にバクテリアセルロース膜は、耐酸化性試験として用いられるフェントン試験によって、重量減少率は20%程度と低い。これはナフィオン膜の重量減少率10%程度に匹敵する。また植物由来のセルロースや再生セルロース膜の重量減少率がほぼ100%であることと比較して、バクテリアセルロース膜の耐酸化性が強く、燃料電池膜として優れていることを示唆する。さらにバクテリアセルロース膜内での水素触媒としてのパラジウム微細粒子の析出にも成功している。また、セルロース溶液から水蒸気添加あるいはイオン交換樹脂の添加による、透明な光学的異方性ゲルおよび透明異方性フィルムの作成にも成功している。 以上のように、当研究は生物学的由来の異なるセルロースの分子特性に関する基礎的研究から始め、各種セルロースの分子特性に適合した高度利用への道を模索する段階に入りつつあり、今後のさらなる発展が期待される。
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