配分額 *注記 |
16,010千円 (直接経費: 15,200千円、間接経費: 810千円)
2007年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
沿岸海域で発生した赤潮の消滅過程において殺藻細菌は重要な役割を演じており,赤潮の予防や駆除等に向け将来の実用化が期待されている。我々は,沿岸域に繁茂する大型海藻の表面に膨大な数の殺藻細菌が付着している事実(時に100万/g湿重のオーダー)を発見し,殺藻細菌の供給源として藻場が重要である可能性を示した。本研究では,藻場水域と赤潮水域の殺藻細菌群を比較し,この仮説の検証を試みる。 大阪湾沿岸の潮間帯海域と関西国際空港の緩傾斜護岸の藻場において多くの殺藻細菌を分離し,16SrDNA解析を行った結果,α-プロテオバクテリア,γ-プロテオバクテリアおよび滑走細菌(CFBグループ)に属していた。α-プロテオバクテリアは初記載である。赤潮の発生する海域からの既報のものと同様に,Alteromonas, Pseudoalteromonas, Cytophaga属が多かった。 播磨灘を対象水域として,夏季に現場調査を実施して有害プランクトンの動態を把握すると共に,浮遊細菌(<3μm)と粒子付着細菌(>3μm)に分けて殺藻細菌を分離した。浮遊細菌は293株が分離され,殺藻細菌は24株分であった。粒子付着細菌は458株分離され,殺藻細菌は191であり,浮遊細菌に比べ著しく頻度が高かった。このように,海水中では,殺藻細菌が粒子に付着して高密度に生息することが初めて明らかとなった。 大阪湾のアマモ場において,海水とアマモ葉体に付着する殺藻細菌を分離し,検出計数を行った。アマモ葉体表面には,約1千万-9千万/g湿重の殺藻細菌が付着していた。アマモ場海水中には約1千-1万細胞/mLの密度で赤潮藻殺藻細菌が検出された。これらの成果は世界初の発見である。またアマモ場の植物プランクトンは,有害種を含む鞭毛藻類珪藻類共に沖合に比べごく低密度であった(20細胞/mL以下)。以上から,アマモ場を造成し,そこに生息する豊富な殺藻細菌を活用するという,実効的な赤潮の発生予防策を提案できる。
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