配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
2006年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2005年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,ヨーロッパに起源を持つ直接支払制度をいかにしてアジア諸国の社会制度や自然環境に適した政策手段として設計すべきかを検討することにある.本研究の推進に際しては,海外の研究協力者との共同研究・調査を積極的に展開し,スイス工科大学・スイス連邦経済省農業局ほかから4名の研究協力を得た.また,韓国からは,国立慶尚大学および国立ソウル大学から2名が本研究に参画した.2年度以降は,農業組織を北東アジアに共通のものかどうかを検討する必要が生じ,台湾大学から2名の研究者を組織した.研究終了年には合計7名の海外研究協力者とともに「食料純輸入国における政策デザイン」と題するシンポジウムを開催し,研究を総括した. 分析結果は以下のように要約できる.1)スイス・日本・韓国・台湾の4カ国の農業はいずれも農業調整段階に入っている.2)しかし,その段階は相互に異なり,台湾・韓国が調整の初期段階に位置し,コメの自由化対策に主軸をおいているのに対し,日本は担い手の交代を見据えた構造転換を見通せる段階に入りつつある.スイスにではEUとの自由貿易交渉の進展に合わせた形で,農業保護の着地を具体化させる段階にある,3)直接支払制度もこれに対応しており,韓国・台湾ではもっぱらコメの自由化による所得損失を補償する制度の設計が中心課題であるのに対し,日本では大規模農家に焦点を当てた足きり制度を具体化している.スイスでは農業環境政策を基礎とした直接支払制度をすでに完成し,今後は農地市場の自由化による構造改革(とりわけ平坦部)を課題とする.4)日本の生産組織は北東アジアにおいても特殊な存在であり,これを基礎としたアジア共通の政策設計はできない.5)北東アジアの直接支払制度は,コメ作による土地管理と環境保全政策の体系化,および,非農業との土地利用調整(ゾーニング)に配慮した設計が欠かせない.
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