配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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研究概要 |
本研究は,家畜の排泄物処理において質・量ともに最難問とされる豚尿汚水の農地還元に挑戦したものである.すなわち,豚尿汚水から土壌・鉱物・貝殻などを用いて低窒素・高ミネラルの生物活性水(液肥)を作出,これを畑作物に散布し作物の肥培効果を高めるとともに,液肥の肥培効果を簡易評価する手法を開発,もって畜産を核とした畑作との循環型農業の可能性を追求した,得られた成果は次のとおり. 1.バイオリアクタ(土壌・花崗岩(M)・軽石(M))と微生物(B)とによって家畜尿汚水(W)を浄化し,その液肥を農地還元するBMW法に着目し,青森県十和田市にあるBMW型豚尿汚水処理施設の水質調査を行った結果,有機性窒素は75%減少,窒素・リンは無機化し,液肥にはカルシウム・マグネシウムなどのミネラルが増加していた. 2.青森県上十三地域の主要畑作物であるナガイモ・ニンニク・ナガネギについて,BMW型豚尿汚水処理施設で作出した液肥を2(t/10a/年)散布し,対照区との肥培効果を比較した結果,液肥区はいずれの作物も濃度障害や生育障害はなく,収量や品質に効能が認められた. 3.BMW法に代わる新しいバイオリアクタを追求した結果,「モミガラ燻炭(C)」,「ホタテ貝殻(S)」,「ゼオライト(Z)」で構成されるCSZ法を開発した.CSZ法はBMW法や曝気のみに比べ,硝化力,有機物除去率,脱色効果に優れていた. 4.液肥の作物への胞培効果を簡易に評価する指標として,液肥中に増殖する藻類の一種,クロレラ(Chlorella vulgaris)を見出した.クロレラの増殖は化学肥料より豚尿汚水からの液肥が顕著であった. 5.畜産と畑作の盛んな青森県上十三地域において,豚尿汚水を液肥化し,全畑作地にそれを2(t/10a/年)散布できると仮定すれば,同地域で年間に排出される豚尿汚水の約70%を農地還元できることが試算された.これより,豚尿汚水から作出する「液肥」を核として,養豚農家と畑作農家との循環型農業の実現の可能性が指摘された.
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