研究概要 |
サトウキビの精密栽培システムを確立するために,対象物-センサ間距離を階層的に変化させて可視域から近赤外域までの"光センシング"技術を適用した。 1)接触計測:サトウキビの栄養診断に必要な葉内のN, C, P, K, Mg, Ca,水分などの成分を分光反射・吸光度特性によって迅速に計測する光センシング技術,特にNIR解析技術を開発した。生育段階の個葉について継続的に栄養成分を計測し,検量線の精度が十分にあることを確認した。さらに,茎の細裂試料および搾汁液についても同様の分析を行い,測定可能な栄養構成成分を明らかにした。 2)近接計測:野外観測用可視・近赤外分光装置を用いてサトウキビ葉身の分光反射特性を350nm-2500nmの範囲で測定を行い,水ストレスや窒素養分による分光反射特性の違いを検討した。 3)近距離計測:階層的センシングの一方法として期待される低空からの観測の可能性について検討するために,南大東島でサトウキビ圃場の生育状況の画像を取得した。この画像によってサトウキビの生育状況および雑草などの繁茂状態を詳細に分析できることが明らかになった。 4)中距離計測:ハイパースペクトル画像を取得し,ピクセル単位で栄養成分を求める手順を自動化し,実用的なスケールを模索する手順をまとめた。 5)遠距離計測:高解像度画像QuickBird衛星画像およびIKONOS衛星画像を利用し,北大東島・南大東島の圃場地図の作成,NDVI(植生指数)の解析,かんがい施設の配置状況の解析を行った。これらの結果は圃場地図に地理情報システム(GIS)を用いてマッピングした。 6)これらの結果に基づいて測定対象物と光センサとの距離と測定可能な成分および測定精度との関係を検討した。 7)補完的計測:北大東島に設置した気象観測ロボット3基からのモニタリングデータを用いて圃場の蒸発散量など推定し,光センシング結果との比較を行った。
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