研究課題/領域番号 |
16380195
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
石井 利明 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50264809)
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研究分担者 |
宮沢 孝幸 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (80282705)
古岡 秀文 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60238665)
西村 昌数 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50011995)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2005年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2004年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | ILK / 神経原線維変化 / アルツハイマー病 / 病態モデル / タウタンパク / 異常リン酸化 / 脳 / 記憶学習 / タウタンパク質 / 痴呆 |
研究概要 |
インテグリンリンクドキナーゼ(ILK)の遺伝子操作により神経原線維変化をマウス脳に形成させることで、アルツハイマー病などの神経変性疾患で確認される神経脱落像ならびにそれに基づく神経活動の異常に即した病態を忠実に再現した動物モデルの作製を試みた。ILKの活性不活化変異体(DN-ILK)を3週間にわたり導入発現した急性期マウスの海馬では、ILK酵素活性の有意な低下が認められ、それに伴い神経原線維変化病変に高頻度に出現するタウタンパク質のSer^<199>とSer^<202>の異常リン酸化量ならびにそれらを触媒するGSK-3βの活性型(Tyr^<216>-p)が増加した。ところが、12週後の慢性期になると、内在ILKの発現が誘導され、ILKならびGSK-3βの酵素活性が正常レベルにまで回復するとともに、急性期で認められたタウの異常リン酸化量の増加も回復した。DN-ILKを発現したマウス海馬では、生理機能を維持するため内在ILKの発現誘導を促進する適応機構が生じ、ILKならびGSK-3βの酵素活性を正常レベルにまで回復させ、タウタンパク質の機能を維持していることが示唆された。このように、培養細胞の場合とは異なりin vivoの動物個体では、長期間ILK活性を阻害したことに起因する代償機構が出現するため、神経原線維変化の発生には至らず、病態モデルを完成することが出来なかった。今後、ILK酵素活性を阻害した場合に生じる代償機構の詳細を解明し、それら適応機序を阻止する方法を見出すことが出来れば、ILKの遺伝子操作により神経原線維変化の動物モデルを作製することが十分可能でると考える。一方、逆の視点から見れば、アルツハイマー病の初期では、ILKの活性を高める薬物の投与が神経原線維変化の進行阻止に有効である可能性を強く示唆している。
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