研究課題
基盤研究(B)
卵胞の発育・閉鎖の運命決定には卵胞顆粒膜細胞の生存・死が密接に関わっている。顆粒細胞の生存には、チロシンキナーゼによるシグナル分子のチロシンリン酸化が深く関与するが、その逆反応を司るチロシソンホスファターゼ(PTP)の卵巣における研究は極めて遅れている。我々は、25種のチロシンホスファターゼが顆粒膜細胞で発現し、PTP20やPTPεMを含む幾つかめPTPが性周期に伴い劇的な発現変動をすることを明らにした。このうち、健常卵胞に比べ閉鎖卵胞に多いPTPεMに着目して、その卵巣における機能とその作用機序解析した。その結果、以下の知見を得た。1)顆粒膜細胞PTPεMを過剰発現したところ、細胞の中心部が収縮。し神経突起の構造を示した後、アポトージスを起こした。2)この時、アクチンファイバーが消失し、接着班の形成に重要なRho活性が低下した。3)Rhoにより制御されるRhoキナーゼ阻害剤の添加は、PTPεMの過剰発現と同様の変化を細胞にもたらした。4)PTPεMは接着班の形成と密接に関わるチロシンキナーゼFAKのTyr925とTyr576/577のリン酸化レベルを低下させた。5)PTPεMとFAKは共沈殿を起こした。以上の結果は、PTPεMが接着班やアクチンファイバーの形成に深く関与するFAKの脱リン酸化やRhoの活性低下を通して、顆粒膜細胞と細胞外マトリックス因子との結合を切る、すなわち細胞にanoikisを起こすことにより細胞死を誘導することを示している。これらのデータは、PTPεMが可融膜細胞の生存を負に制御し、卵胞閉鎖を導くシグナル因子であることを意味するものである
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