研究課題/領域番号 |
16380205
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
品川 邦汎 岩手大学, 農学部獣医学科, 教授 (60133906)
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研究分担者 |
中根 明夫 弘前大学, 医学部, 教授 (30164239)
重茂 克彦 岩手大学, 農学部獣医学科, 助教授 (60224309)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2005年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2004年度: 9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
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キーワード | S.aureus / Staphylococcal enterotoxin / recombinant DNA / genome biology / diagnosis / pathogenicity islands / plasmids / biological activities / pathogenicity island |
研究概要 |
近年、複数株の黄色ブドウ球菌ゲノム全塩基配列が決定されたことにより、このゲノム情報を基盤としたブドウ球菌の病原性の解明と疫学への応用が期待されている。本研究は、ゲノム配列情報を活用し、特にブドウ球菌の重要な病原因子であり、ヒトの食中毒の原因毒素であるエンテロトキシン(SE)に焦点を絞り、SE遺伝子群がコードされている可動性遺伝因子(pathogenicity islands, prophageおよびプラスミド)の特徴を明らかにすること、さらに、近年その存在が明らかになってきた新型SEの生物活性についても詳細な解析を行うことを目的として、以下の研究を行った。 A.SE遺伝子をコードする新規可動性遺伝因子の検索 すべてのSE遺伝子を検出可能なmultiplex PCRシステムを用いて黄色ブドウ球菌のSE遺伝子プロファイルを行い、この遺伝子プロファイルをゲノム配列決定によって明らかになった種々の可動性遺伝因子のSE遺伝子保有パターンと比較した。その結果、多くの株でSE遺伝子の存在様式は既知の可動性遺伝因子の組合せに従っており、黄色ブドウ球菌のSE遺伝子プロファイルは、どのような可動性遺伝因子をゲノム上に保有しているかで決定されることが推測された。しかしながら、既知のSE保有パターンに従わない株も存在し、新たな可動性遺伝因子の存在が推測されたため、パルスフィールド電気泳動とサザンブロットの組合せを用い、新規可動性遺伝因子の探索を行った。その結果、SEBをコードする可動性遺伝因子は、少なくとも3種類が存在することを明らかにした。 B.SE遺伝子をコードするプラスミドの解析 SE遺伝子をコードするプラスミドp196の全塩基配列を決定し、その性状を解析した。p196はβ-lactamase遺伝子とカドミウム耐性遺伝子を保有するβ-lactamase-heavy metal resistant plasmidであり、病原因子としてはSED,SElJ,SElR遺伝子のみをコードすることを明らかにした。 C.新型SEの生物活性の解析 SERの生物活性を詳細に調べ、本毒素はスーパー抗原であることを明らかにした。また、SElRの定量的検出法を確立した。また、別種の新型SEであるSElPの生物活性についても調べ、スーパー抗原活性を有し、トガリネズミに対し催吐活性を示すことを明らかにした。スーパー抗原活性を人為的に欠失させたSECをマウスに免疫することによりTh2免疫反応を誘導することが可能であり、ブドウ球菌間に防御的に働くことを明らかにした。さらに、SEAはヒト腸管上皮細胞のCa^<2+>シグナルを修飾することを明らかにした。 以上の成果は、ブドウ球菌食中毒およびブドウ球菌感染症の分子疫学を進める上に有用であり、さらに新型エンテロトキシンの食中毒への関与を明らかにしていく上で、極めて重要な科学的基盤となるものであると考えられる。
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