配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2006年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2005年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2004年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
HIV-1のコレセプター(CCR5,CXCR4)の第2細胞外ドメインの一部を構成するアーチ状の特殊立体構造(UPA, Undecapeptidyl Arch)の各々5残基からなるキメラ抗原cCD-MAPをカニクイザルに免疫し(0,1週に完全フロイントアジュバンドとともに抗原を腹腔内へ接種し、不完全フロイントアジュバンドとともに6週に皮下接種)、得られた抗血清中のcCD抗原に対する抗体価にちいてBIAcoreを用いて解析した。ワクチンを接種された3頭のサル(ss1.ss2、ss3)は、免疫開始後6週から8週にかけて抗体価のピークが現れることがBIAcoreによる解析により明らかとなった。また、血清中に誘導されている抗体が実際にケモカインレセプターに反応できるか否かをFACS分析によって検討したところ、3頭のカニクイザル中にいずれもケモカインレセプターに反応する抗体が誘導されていることが明らかとなった。さらに、臨床分離株由来のR5及びX4ウイルス(cladeA,C,E)の感染をそれぞれ強く阻害することをMAGIC-5 assayにより明らかにした。また、同様に、SIVmac239の感染もMAGIC-5 assayにおいて有意に阻害することを明らかにした。cCD-MAP抗原をカニクイザルに免疫することによってCCL3, CCL4, CCL5の有意な誘導は認められないことより、cCD-MAPを免疫することにより得られた抗血清中には、CCR5およびCXCR4に対する自己抗体が誘導され、これらの抗体がin vitroにおける感染防止実験においてウイルスの感染を防止したと考えられる。 CCR5およびCXCR4由来のキメラ抗原を霊長類であるカニクイザルにワクチンとして接種するという研究を支えてくれた本基盤研究により、経口エイズワクチンへ発展する重要な知見が得られたと考えており、HIV-1のコレセプターに対する立体特異的自己抗体を膣粘膜組織、かつ小腸粘膜免疫組織に安定的に誘導させるための分子とキメラワクチンを結合させた抗原を経口カプセルを介して免疫し、次世代ワクチンとしての評価を今後進めていきたいと考えている。
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