研究課題
基盤研究(B)
胸腺において、Tリンパ球は造血系未熟細胞から分化し、成熟する。多分化能造血幹細胞が胸腺に移入するのか、あるいはTリンパ球系に系統分化が決定されてから胸腺へ移入するのか未だ意見が分かれている。また、造血幹細胞がどのような機構でTリンパ球系へと決定されるのか、少数のT細胞がどのような過程を経て選択され、成熟T細胞レパトアが形成されるのか明らかではない。我々は、CTSマウス(NODとsister strain:成熟T細胞が胸腺から移出する機構が欠陥)を材料にして、電子顕微鏡や免疫組織学的手法を用いて、造血系未熟細胞の分離・同定を試みた。また、複数のマウス系統の胸腺を用いて、胸腺細胞の分化・選択過程を分子生物学的手法によって明らかにした。本研究課題を通して、次のような新しい知見を得た。1.1万枚もの透過型電顕写真を撮影し、CTSマウス胸腺実質内に骨髄球から後骨髄球の段階の好中球や好酸球がかなりの頻度で観察できた。赤芽球系(網状赤血球、成熟赤血球)および巨核球も同定された。胸腺で巨核球を電顕で同定したのは初めてであり、また多系統の造血系未熟細胞を胸腺に認めたのも例がない。造血を支持するサイトカインもCTSマウス胸腺でRT-PCR法で確認された。これらの事実は胸腺には多分化能造血幹細胞が移入するという考えを支持する。2.成熟T細胞のレパトアはマウス系統間で大きく異なるが、初期の未熟T細胞レパトアは系統間差がない。胸腺では、種に保存された遺伝的要因により「選択前のレパトア」が決定されることが判明した。3.抗原認識部位であるCDR3長の短鎖化がCD4SPおよびCD8SP細胞群で起こることが初めて示された。短鎖化の程度はCD4SPで大きく、MHCに影響されることを解明した。CDR3長の短鎖化はV鎖に大きく依存し、germlineにコードされるVβ鎖の構造的特徴がCDR3長に影響すると推測される。
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