研究課題
基盤研究(B)
ヒト及びウサギの動脈硬化病変におけるCRPの発現様式や内膜に沈着したアポ蛋白B、マクロファージとの関係について検討した。病変内に存在しているCRPのほとんどが肝臓で合成され、血流に介して血管にしみこむことが初めて報告した。また、血中のCRP値は動脈硬化病変の広がりとの相関性を明らかにした。plivHEG/LE6+insulatorコントラクトによりヒトCRP(hCRP)の過剰発現させたhCRPトランスジェニック(Tg)ウサギの系統確率および表現型解析を行った。発現量の異なる2種類の(C205: hCRP 50mg/L, C215: hCRP 0.8mg/L)hCRP TgウサギFounderのもとに繁殖を行ったところ、予想に反し、C215からhCRP 1,000mg/Lの高発現系統(Line C215)が樹立され、C205からはhCRP 50-100mg/Lの中発現系統(LineC205-High)、およびhCRP 1.0-10mg/Lの低発現系統(Line C205-Low)の樹立にそれぞれ成功した。それぞれのTgウサギの血中に発現されているhCRPについて、native CRP, modified CRP, denatured CRPのそれぞれの特異抗体を用いて、SDS-PAGEおよびnative PAGEにより解析した結果、正常ウサギの血中にはこの3種類のCRPがいずれも存在すること、そして、Tgウサギで発現しているhCRPの多くはmodified およびdenatured CRPであることが明らかになった。発現量の異なる各系統について繁殖を行い、動脈硬化実験のための数が確保でき、これらのTgウサギと正常ウサギにコレステロール食を負荷させ、動脈硬化の形成におけるCRPの役割を検討中である。また現在、動脈硬化および心筋梗塞を自然発症するWHHLウサギとの交配による新たな系統の確率を継続している。米国ISIS社からの提供を受けたCRPアンチセンスの実験も進行中である。
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