研究課題/領域番号 |
16390091
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 寿郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任教授) (80323020)
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研究分担者 |
田中 十志也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 産学官連携研究員(特任助教授) (20396930)
馬郡 健太 東京大学, 先端科学技術研究センター, 産学官連携研究員(特任研究員) (90361683)
浅場 浩 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員 (20361678)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2005年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
2004年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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キーワード | LRP5 / Wnt signal / insulin / islet / obesity / PDX-1 / SOX6 / very low-density lipoprotein / WNT signal / Acetyl-CoA synthetase / Kruppel-like factor KLF15 |
研究概要 |
膵ラ氏島はインスリンを分泌する代謝の中心を司る内分泌器官である。ラ氏島の量(β-cell mass)は生後もダイナミックに変動する。生後10歳頃までは細胞増殖が進んだのち一定量に達し、老年期までほぼ一定量を保つ。肥満者ではインスリン抵抗性を代償すべくβ細胞数が増え、過形成を呈する。逆に、加齢に伴いラ氏島の量が減るとインスリン分泌による糖尿病に発展する。本研究では、Wnt/βカテニンシグナルの肥満病態の解析を行った。 膵ラ氏島では、肥満マウスのラ氏島でβカテニンの蓄積が2-3倍に増加し、Wntシグナルの亢進を示唆した。さらに、このラ氏島に発現する遺伝子を網羅的に解析することで、転写因子SOX6を抽出し、その発現が肥満マウスで20%程度に減少することが明らかになった。SOX6はMIN6インスリン分泌細胞に於いて、グルコース依存性のインスリン分泌を抑制する機能を有することを明らかとした。その機序は、ミトコンドリアでのATP合成酵素サブユニットの発現を抑制し、ATPの合成を抑制することを明とした。SOX6はさらにインスリンプロモータ活性を阻害した。その機序は、膵β細胞の発生、成熟後の膵β細胞機能に中心的役割を担う転写因子PDX1と結合し、PDX1の転写活性化能を抑制することを明らかとした。これらのメカニズムにより、膵β細胞の機能を維持することを明らかとした。さらにSOX6は、βカテニンと結合し、βカテニン依存性の転写を抑制し、細胞周期にかかわるサイクリンD1、E1の転写制御を行った。 このようにSOX6はWntシグナルの転写ブレーキとして機能し、膵ラ氏島でのSOX6の発現レベル肥満に伴い、ダイナミックに変化し、PDX1やWntシグナルの活性を制御し、膵β細胞の代償的過形成やインスリン分泌促進に関与することが示唆された。さらに、この転写調節にSOX6がヒストンデアセチレース1(HDAC1)と直接結合を介して、ヒストンのアセチル化に関与し、クロマチンの活性化を介して転写制御をする新たな機構を提示した。
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