研究課題
基盤研究(B)
チロシンキナーゼSykの未知の機能として、1)白血病の発症制御機構、および2)初期感染の防御機能の解明に取り組んた。1)白血病を正常造血の破綻としてとらえ、Sykが正常造血にどのように関わるのか、マウスプロB細胞株BAF3および骨髄性細胞株32Dを用い、細胞外マトリックス(BAF3;フィブロネクチン、32D;ヒアルロン酸)を塗布したプレート上で、ケモカインCXCL12で刺激し、細胞接着、運動性および細胞形態を解析した。両細胞株は、速やかに細胞極性を伴う細胞移動を開始した。そこで両細胞株にdominant negative(DN)-Sykを導入した。BAF3では細胞極性とuropod(細胞後方の収縮構造)が消失、細胞接着も減少し、かつCXCL12依存性のRhoA活性化が抑制された。この結果はSykがRhoA上流で、CXCL12刺激による細胞接着と極性化に必須の役割を果たしている事を示している。さらに32Dを用いて解析した。CXCL12刺激依存性に細胞骨格系アダプタータンパク質、モエシン、エズリンのチロシンリン酸化が上昇し、DN-Sykの発現によりそのリン酸化が抑制された。Sykがヒアルロン酸受容体であるCD44下流においても細胞接着に重要である事を示した。これらの結果よりSykは正常造血に必須の細胞接着や極性化を介して白血病の発症を阻止している事が示唆された。2)自然免疫に重要な補体依存性の食作用に着目して分子機構の解明に取り組んできた。食細胞としてマクロファージ様に分化したヒト白血病細胞株HL60、感染微生物モデルとしてZymosanを血清中で処理して補体活性化成分C3biと結合させて用いた。その結果、補体依存性のファゴサイトーシスにおいてチロシンキナーゼSykが補体受容体CR3を介した食胞の形成と輸送に必須の役割を果たし、その下流でRhoAが活性化する事を明らかにした。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (19件)
Blood (未定)
Blood (in Press)
Blood 未定
Biochem. Biophys. Res. Commun. 328・4
ページ: 1163-1169
Genes to Cells 10・1
ページ: 23-35
Biochem.Biophys.Res.Commun. 328
Genes Cells. 10
Biochem.Biophys.Res.Commun. 328・4
Genes to Cells 10,1
Mol.Biol.Cell 16,1
ページ: 32-39
Biochem.Biophys.Res.Commun. 328,4
Biochemistry 44,10
ページ: 3891-3898
J. Biol. Chem. 279
ページ: 32308-32315
Curr. Pharm. Des. 10
ページ: 835-839
Mol. Cell. Biol. 24
ページ: 71-83
J.Biol.Chem. 279
Curr.Pharm.Des. 10
Mol.Cell.Biol. 24
Genes to Cells 9,11
ページ: 993-1004