研究課題/領域番号 |
16390121
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
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研究分担者 |
藤井 博昭 順天堂大学, 医学部, 講師 (50296836)
梶野 一徳 順天堂大学, 医学部, 助手 (80260066)
松岡 周二 順天堂大学, 医学部, 助手 (20286743)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
2005年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
2004年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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キーワード | 慢性肝炎 / 肝発がん / 炎症 / 多段階発がん / 遺伝性がん / dbpA / VR-1 / 環境発がん / YB-1 / 高がん化状態 / dhpA / 肝がん / HBV / HCV |
研究概要 |
我々は、「炎症による肝がんと遺伝による腎がん」を戦略として、ヒトがんの起源を「環境と遺伝」の立場から論じようとするものである。特に「炎症による肝発がん」に関して「遺伝子変化か生じやすく、また蓄積しやすい組織の状態」を高がん化状態(Hypercarcinogenic state)と提唱し、「炎症とがん」を「遺伝子発現病」の観点からとらえ、高がん化状熊から、低がん化状態に導くことが、漫性肝炎によるヒト肝がん発生の予防につながることを分子のレベルで示す戦略の一貫として、「Y box binding protein(Cold shock protein)familyに属するdbpAが、肝発がん過程を促進する宿主側の因子として働いているかどうか検討した。 1.Y box binding protein(dbpAおよひYB-1)のヒト肝癌での発現状態は、肝癌の進行度に相関し、肝癌の予後マーカーとなることが示された(dbpAはYB-1よりも相関の強いマーカーであった)。 2.dbpAプロモーター領域に一塩基置換のある症例では、dbpAが核に局在する傾向があった。dbpAが核に発現している肝癌症例は予後不良であり、これらのことから、dbpAプロモーター領域の一塩基置換も肝癌の予後マーカーとなり得る可能性が示唆された。 3.dbpAプロモーターのメチル化:慢性肝炎・肝硬変のような前癌病変においてはdbpAの発現が必ずしも高くない。これらの前癌病変ては、プロモーター領域のメチル化により同遺伝子の発現が抑制されている可能性を考え、プロモーター領域に存在するCpG islandのメチル化の状態を調べた。dbpAの癌組織での発現パターンと、癌及び非癌部組織のメチル化パタンを比較検討した結果、非癌部メチル化(+)癌部メチル化(-)症例で有意に癌部での発現レベルが高いことが判明した。 4.肝発癌感受性の充進を示すdbpA Tgマウスにおいて、肝臓に形態的変化の見られない30週齢て発現の充進している遺伝子群をDNAチップで解析した。Tg(+)マウスて発現の充進している11遺伝子のうち7個(Igfbpl,Tff3,Hpx,Orm2,Ctsl,Plg,Jdpl)が発癌に関連した遺伝子であり、発現の低下している9遺伝子のうら1個(Car3)は活性酸素から細胞を保護する遺伝子であった。 5.Tg(+)マウスで発現の充進していたIgfbpl遺伝子とdbpA遺伝子の発現の関連をsiRNAを用いて確認した。siRNAでdbpA遺伝子の発現を抑制することにより、Igfbpl遺伝子の発現も抑制された。
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