配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2004年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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研究概要 |
粘液はコアペプチドに大量の糖鎖が付加された特異な糖タンパク質であるが,線虫感染に対する粘液反応の役割はまだ明らかになっていない,各種粘液の基本性質はコアペプチド(MUC)の種類によって規定されるとともに,糖鎖末端のシアル酸付加による修飾や硫酸基付加による修飾によって規定される.このような背景のもとに,本研究では2種の線虫Nippostrongylus brasiliensis(Nb)及びHeliginosomoides polygyrus(Hp)を用い,各種系統のラット,マウスに加えて,免疫不全scidマウス,TNF knockoutマウス,胸腺欠損rnu/muラット,マスト細胞欠損Ws/Wsラットにおける粘液反応とその役割について解析し,さらに小腸由来IEC-6細胞株とNbの共培養実験系を確立し粘液反応の調節機構を解明する目的で実施した. 本研究の結果,MUC,各種の小腸上皮細胞関連遺伝子及び粘液糖鎖を修飾する各種シアル酸転移酵素,硫酸基転移酵素の遺伝子発現が,線虫感染初期,線虫感染極期,線虫排除期の各ステージにおいて特徴的に変動すること,中でも,粘液及び膜糖タンパクに対するシアル酸転移酵素siat4c及び硫酸基転移酵素3-OST1の発現は,T細胞依存性に線虫排除期に発現増強することが明らかになった.さらに,siat4c及び3-OST1はTh2サイトカインのIL-4,IL-13依存性に発現増強することも明らかにすることができた. 本研究成果は,今まで不明であった線虫感染における粘膜上皮の分子的反応を,宿主のサイトカイン産生反応及び線虫排除機構と関連づけて明らかにした最初の研究であり,宿主の線虫障害の分子機構の解明への端緒となる研究であると考えられる.
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