配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2005年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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研究概要 |
本研究では,この10年間旺盛に議論されてきた,健康そのものの公平,医療財政の公平,医療供給における公平についての,定義と測定法について概観した。これらに関連した理論として,ケイパビリティ・アプローチ,ロールズ的正義論,健康権,を重視して検討した。 文献研究により,多くのOECD諸国では,健康格差対策と医療格差対策を展開してきていることが明らかになった。両者の政策は関連はしているが,異なる論理やアプローチを含んでいる。イギリスでは,階級・所得・地理による健康格差が問題とされ,包括的健康格差対策が展開され,NHS,地方政府,NPOが関与している。一方で,医療資源配分の在り方,無料のサービス,患者選択などが医療供給の公平上の論点である。アメリカ合衆国では,健康格差対策は人種間の医療アクセスとして対策が検討されてきた。医療アクセスの公平については,無保険が大きな課題であるが,診療場面における人種間の治療成績の差異も問題化されてきた。福祉国家スウェーデンでも健康格差の拡大が指摘されており,格差縮小を含んだ公衆衛生戦略が展開されている。医療アクセスの公平は自治体での医療改革の論点となっている。 健康格差対策は,その社会のより大きな集団間の政治や政策展開と不可分である。各国の政策展開はそれぞれの歴史と社会の主要な課題を反映した独特の展開を示している。
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